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本メールは日本臨床検査医会の発行する電子メール新聞です。
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=========================≪ 目 次 ≫=========================
[寄 稿]◆ブロードバンド・インターネット時代の幕開け
[お知らせ-1]◆第48回日本臨床検査医学会総会の抄録締切日の延長
[お知らせ-2]◆第49回日本臨床検査医学会総会の日程決まる
[お知らせ-3]◆平成13年度第1回臨床検査医学会理事会報告(平成13年3月3日)
[お知らせ-4]◆会員動向(2001年4月26日 現在数 599名 臨床検査専門医 400名)
[お知らせ-5]◆第21回世界病理・臨床検査医学会議(WASPaLM)の旅行案内
[お知らせ-6]◆2003年第26回日本医学会総会「検査と診断」のテーマ募集
[お知らせ-7]◆第42回検査医会教育セミナーを終了して
[お知らせ-8]◆ISO/DIS 15189のFDIS化が大幅に遅れる
[お知らせ-9]◆Evidence-Based Diagnosis確立のための展望
[報 告]◆日医外部精度管理調査シリーズNo.7
[ニ ュ ー ス] ◆エイズウイルスが原因でおこる結核の感染者数がアフリカで倍増
<WHOトピックス Press April 2001 WHO-147>
[声の広場-1]◆私の日常業務報告
[声の広場-2]◆日本臨床検査医学会と関連学会
[声の広場-3]◆規制緩和(第4次医療法改正)と検査医
[声の広場-4]◆臨床検査技師が望む臨床検査医のあるべき姿
[声の広場-5]◆われら40代の研究
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[寄 稿]◆ブロードバンド・インターネット時代の幕開け
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IT革命の促進を森 喜朗総理が公約にしたが、その内容は欧米やアジア諸国に比べ
遅れているわが国のインターネット利用を促進させ、5年以内に世界最先端のIT国
家に変革させるというものである。このIT革命で最も重要な役割を果たすのがイン
ターネットである。
現在、インターネットの接続スピードは1秒間にアナ口グで32キロビット、ISDN
で64キロビットであるのに対し、ブロードバンド・インターネット(略してブロー
ドバンド)で高速といわれるADSLでは1.5メガビット、超高速の光ケーブルでは
100メガビットと高速になる。日本全国でもブロードバンド接続会社が次々とサー
ビスを開始したことにより、わが国でも普及の兆しが見えてきた。アメリカでは、
ブロードバンドがすでに3年前より一般家庭で利用できるようになっている。
今後は日常生活でもブロードバンドを利用するとホームページ上の動画映像がテ
レビと同じように見ることができる。すなわち、コンサート、演劇、映画、スポー
ツなどのライブ中継が見られ、動画や音楽データのダウンロードも短時間でできる
ようになる。
ブロードバンドのうち超高速の光ケーブルを用いると、テレビ電話、テレビ会議、
遠隔教育、遠隔医療に利用できる。非能率的といわれる役所でさえ事務手続きが24
時間受付可能となり、電子政府の実現や電子商取引も可能となる。一方、携帯電話
を用いてメールによる情報交換やデジタルテレビでブロードバンドを用いることも
可能となる。
さて、検査医会のホームページを見ると臨床検査の情報が満載されており、デー
タベースとして大変価値があるものが出来ているので、ご利用いただきたい。会員
の大多数がブロードバンドを利用することになれば、動画を中心としたホームペー
ジになる可能性が大である。
(獨協医大越谷病院臨床検査部 森 三樹雄)
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[お知らせ-1]◆第48回日本臨床検査医学会総会の抄録締切日の延長
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検査2001(第48回日本臨床検査医学会総会・第41回日本臨床化学会年会 連
合大会)の一般演題抄録締切が、5月1日正午になっておりましたが、多くの会員
より、締切日の延長の要望が寄せられております。両会長の指示にて、締め切り日
を5月15日(火)正午まで、延長することになりました。
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[お知らせ-2]◆第49回日本臨床検査医学会総会の日程決まる
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総会長 清水 章(大阪医科大学中央検査部長・病態検査学教授)
事務局長 中川 俊正(大阪医科大学病態検査学助教授)
開催日:平成14年11月21日(木)〜24日(日)
ただし21日は各種委員会、評議委員会、会員懇親会(夜)
会場:グランキューブ大阪(大阪国際会議場)
大阪市北区中之島5丁目3-15
電話:06-4803-5555
ホームページ: http://www.osaka-med.ac.jp/~cli000/index.html
メインテーマ:未定、募集中 (臨床検査実務と検査医学は医療を支える重要な仕事
である。関係者皆で力を合わせ一層信頼度の高い検査を提供する。)
〔事務局〕〒569-8686 高槻市大学町2-7 大阪医科大学病態検査学教室内
TEL:0726-83-1221 内線2488 (中川) FAX:0726-84-6548
E-mail:[email protected]
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[お知らせ-3]◆平成13年度第1回臨床検査医学会理事会報告(平成13年3月3日)
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1) 11月29日、第2回診療標榜科勉強会が自民党本部で開催され、鴨下一郎衆議院
議員、厚生省健康政策局課長補佐、9学会代表が集まり標榜の可能性について討議
した。
2) 医学教育モデル・コア・カリキュラム案について11月17日付けで「医学におけ
る教育プログラム研究・開発事業委員会」から各大学宛に「医学教育モデル・コア・
カリキュラム」試案が郵送された。この試案に対する意見は12月1日までに各大学
で取りまとめて委員会に提出することになっていたので、中原一彦総務理事の意見
で、国公私立大学の臨床検査医学講座(臨床病理、病態検査医学、等)の教授宛て
に連絡し、臨床検査医学総論を導入する方向で各大学教育委員長に要望書を提出す
るようお願いした。また、会長は奈良教授とともに佐藤委員長(東京医科歯科大学)
に会い、学会として同様の要望を行った。
3) 1月15日、医療関連サービス振興会衛生検査所専門部会が森三樹雄部会長のもと
で開催され、当学会からは中央委員会清水章委員長、学会会長が出席した。平成12
年度第2回衛生検査所専門部会で170施設の審査結果の報告を受け審議したが、い
ずれも適と判定された。
4) 1月29日、第38回認定医制協議会総会(酒井紀)が開催され、本年4月から専
門医認定制協議会へ移行するのに伴い、いくつかの作業について協議した。特に、
専門医認定制協議会規則案について時間をかけて討議し、最終的に全員一致で承認
された。
5) 2月2日、かねてから科学研究費分科細目の見直しが行われていたが、分科「医
学一般」は「境界医学」と名称変更となったが、細目の「病態検査学」は継続とな
った旨、中原一彦総務理事から報告があった。また、キーワードの中に臨床検査医
学を加えるよう中原総務理事から要望した。
6) 2月27日日本医師会館にて第68回日本医学会評議員会が開催され、会長が代理
出席した。第26回日本医学会総会は2003年4月4日〜6日、杉岡洋一会頭のもと、
福岡国際会議場を中心に開催されることが報告された。
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[お知らせ-4]◆会員動向(2001年4月26日 現在数 599名 臨床検査専門医 400名)
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人事消息
《就 任》
猪狩 淳 順天堂大学浦安病院院長(順天堂大学医学部臨床病理学講座教授併任)
赤星 透 北里大学医学部臨床検査診断学助教授(北里大学病院臨床検査部部長)
《講座名変更》
北里大学 臨床病理学講座から臨床検査診断学講座
《入会》
田島 康夫 (帝京大学医学部附属市原病院病理部)
大島 久二 (藤田保健衛生大学医学部臨床検査部)
木藤 知佳志 (福井県立病院内科)
堀井 俊伸 (浜松医科大学医学部附属病院検査部)
竹下 明裕 (浜松医科大学附属病院第3内科)
加藤 美由紀 (東京慈恵会医科大学病理学講座)
小木曽 嘉文 (長野県立こども病院臨床病理科)
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[お知らせ-5]◆第21回世界病理・臨床検査医学会議(WASPaLM)の旅行案内
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期 日:2001年11月20日(火)〜23日(金)
場 所:Duesseldorf, Germany
ホームページ:http://www.jscp.org/
国内連絡先:櫻林郁之介(自治医科大学大宮医療センター)
TEL:048-647-2111
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[お知らせ-6]◆2003年第26回日本医学会総会「検査と診断」のテーマ募集
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画像診断を含んだ診断に関するトピックス、その他を提案して下さい。プログラ
ムの大枠はおおよそ決まりましたが、まだ時間的余裕がありますので、会員の方で
アイディアがありましたら下記までご連絡下さい。
募集する項目:1. シンポジウム(1〜5名演者)
2. 教育講演(1名演者)
連絡先:濱崎直孝(九州大学臨床検査医学)
TEL:075-251-5652 FAX:075-251-5678
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[お知らせ-7]◆第42回検査医会教育セミナーを終了して
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大阪医科大学病態検査学教室において、平成13年3月25日検査医会教育セミナ
ーが開催された。参加者は12名で輸血検査の実技、骨髄像・血液像検査実技、免疫
電気泳動像判定の実技などの講習を受けた。また、ランチョンセミナーとして産業
医大中央臨床検査部の大田俊行先生が、「リウマチ性疾患の検査の進め方と検査値
の見方」、金沢医大臨床病理学の野島孝之先生が「パラフィン包埋組織ブロックを
用いた遺伝子解析」を講演した。
(大阪医大病態検査学 清水 章)
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[お知らせ-8]◆ISO/DIS 15189のFDIS化が大幅に遅れる
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ISO 15189 Quality management in the medical laboratory[臨床検査室のクオリ
ティマネジメント]が2000年中には国際規格(IS)になるであろう、とお知らせし
たのは1999年秋であった。しかし、漸く新しい動きがあったのでお知らせする。
ISO 15189は、ISO/TC212発足当初から取り上げられていた項目であって、
1996年6月正式に作業項目として承認された。その後、ISO/TC212/WG1で審議を
進め、1998年7月にCD(委員会原案)が承認され、ヨーロッパ標準委員会 (CEN)
/TC140が並行して審議を進めてきた。ISO/DIS 15189が作成されて、1999年
4月にISO中央事務局、ISO/TC176 Quality management and quality assurance,
ISO/CASCO (Conformity Assessment Committee,適合性評価委員会)に送付し、
さらにISO中央事務局からISO及びCEN加盟国に送付した。その結果、投票締切の
1999年9月までに500以上のコメントが寄せられたので、それらのコメントに
基づいて内容の改訂が行われた。一部修正を加え、さらに、ISO 15189, ISO 9001
(1994年)、ISO/IEC 17025の3つの文書について対照一覧表を付録として出来上
がった FDIS (Final Draft International Standard)文書を2000年8月にISO中央
事務局に提出した。ここまでが以前にお知らせした内容である。
その後、ISO中央事務局内での対応に大きな変化が起きたことにより、手続きが
大幅に遅れることとなった。すなわち、2000年にISO9000(品質管理)シリーズ
が大幅に改訂され、ISO 9000: 2000, ISO 9001: 2000, ISO 9004: 2000が
公表された。これによって、今後ISO9000シリーズのセクター(専門分野別)文書
を作成するには、ISO/IEC指令:6章6.42に適合することが要求される。この方針を
ISO/TC212事務局が正式に受け取ったのは2001年1月であり、急遽その方針に沿
った改訂作業が開始された。すなわち、章節の基本的な記載についてISO9001:
2000に忠実に従い、各章節にParticular requirements for medical laboratories
[臨床検査室に特有な要求事項]を加えることである。去る2001年3月、バンク
ーバーで開催されたISO/TC212/WG1会議において作成された改訂文書は、来る
2001年6月、ダブリンでのISO/TC212全体会議に諮られる予定である。
(国際臨床病理センター所長・ISO/TC212国内検討委員長 河合 忠)
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[お知らせ-9]◆Evidence-Based Diagnosis確立のための展望
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Evidence-Based Medicine (EBM)という用語が日常的に使われるようになるにつ
れて、Evidenceの捉え方にも幅が出てきている。ある病院で得られた検査データも
その病院ではEvidenceであるし、妥当な手法でなされた基礎的研究から得られた結
果も一つのEvidenceである。しかし、日常診療で有用なEvidenceとはどのような
ものかと言うと、目の前にいる患者の診療に活用しやすい、すなわち、外的妥当性
が高く、さらに、患者に害を与えずアウトカム(結果)を改善することにつながる
ものである。現代の玉石混合の膨大な情報の中から、それらの要件を満たす良質の
Evidenceを効率よく取得する技術は、今後、臨床医としての基本的なスキルになっ
ていくと考えられるが、多忙な日常臨床の中で行うことは容易ではない。そのため、
診断検査について病態との関連性や検査特性などを熟知した検査医が良質な
Evidenceを臨床の現場に還元することは、臨床医や患者に対して必要不可欠な責務
と考えている。
そのような中、検査診断領域のEBMをEvidence-Based Diagnosis (EBD)と呼び、
その系統的アプローチが進められている。しかし、研究間での異なる結果の取り扱
いや論文の質についての評価、サマリーROC解析などのメタ分析の手法、出版バイ
アスなどいずれもEBDの重要な要件であるにもかかわらず、未だにその方法として
は固まっていない。現状では、関連した研究を網羅的に検索し、その中から抽出さ
れた結果のばらつきについて解析して、その原因となっている因子で層別化し、一
定の結果(または傾向)を導き出すといった手順が一般的であるが、それでもラン
ダム誤差以外のheterogeneityが残る場合が少なくない。そのため、メタ分析による
結果の統合を行わず、影響する因子とともにそれぞれの結果を提示して今後の課題
とすることも多い。今後のEBD発展のためには、論文の批判的吟味を行うためのチ
ェックリストやRandom EffectモデルのサマリーROC解析を試みるなど方法論確
立に向けた取り組みが不可欠であるとともに、EBDを支える一次論文の質を高める
ことも必要である。すなわち、研究デザインの甘さによるバイアス混入を極力少な
くし、また、論文の記載にあたっては、患者スペクトラムや検討した検査の方法や
精確度、Gold standardとそのマスクなどが明確になされていることが必要である。
良質なデザインの研究であれば、それ自体で汎用性の高いEvidenceとなりうるから
である。当面の課題として、このような一次論文やそれを用いた系統的再評価に関
連したEBDガイドラインの作成が望まれる。
(川崎医大検査診断学 石田 博)
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[報 告]◆日医外部精度管理調査シリーズNo.7
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細菌学検査における外部精度管理の目標
日本医師会臨床検査精度管理調査は、日本医師会が臨床検査の精度管理向上を図
り、地域医療の充実・向上を図るために、昭和42 (1960) 年度より開始された。
開始当初は細菌学的検査は組入れられておらず、昭和47年度、第6回精度管理調査
から細菌同定検査が加えられ、抗菌薬感受性試験は昭和48年度(第7回目)から開
始された。
細菌学検査の目標は臨床材料から感染症の起点となる細菌を正しく検
出し、その治療に用いる抗菌薬を適正に選択できる情報を臨床医に提供することに
ある。したがって、精度管理の目標も上述した細菌学検査の目標を達成できるよう
にすることにある。多くの検査施設を対象とする外部精度管理の場合は、細菌検査
室の規模、技術的レベルが施設によってまちまちであり、最高レベルの検査室にの
み可能な精度管理を実施することは不適切である。そこで、どこの検査室でもでき
て、最少限これくらいのことはできるようにしていただきたいという願いから、日
医の臨床検査精度管理調査を実施した。かかる点を考慮して、細菌同定は、
(1) 日常検査で遭遇する頻度が高い細菌、(2) 同属内の菌種が少なく、確実に相互
鑑別、同定が臨床上必要な菌種、(3) 検出頻度は少ないが、教育的意味が大きい細
菌、 (4) 臨床では重要でありながら、とかくなじみが薄い、しかし同定には困難で
ない細菌、などに留置して供試菌株を選択した。
外部精度管理の目標は、低レベルの細菌検査のレベルアップであり、これは管理
調査の成績を踏まえて自助努力をする意識を高めることであろう。
なお、日医の臨床検査精度管理調査の細菌学検査は平成12年から中止されたこと
を付記しておく。
(順天堂大臨床病理学 猪狩 淳)
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[ニュース]◆エイズウイルスが原因でおこる結核の感染者数がアフリカで倍増
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<Press April 2001 WHO-147>
アフリカではエイズウイルスによる結核の感染者数が毎年10%ずつ増加している。
1999年にはアフリカの結核患者数は約200万人で、そのうち三分の二はエイズウイ
ルスが原因であった。2005年にはアフリカの結核患者数は330万人にまで増加し、
すぐに400万人を超えるであろうと専門家は推定している。
エイズウイルスの感染を減らすことは結核の流行を減らすことにもなる。サハラ
砂漠以南の国ではエイズウイルス感染者の50%以上が結核に感染している。アフリ
カでは結核とエイズウイルス感染のコントロールが最も重要な課題である。また、
エイズウイルス感染者で結核に感染している患者は計画投薬を行わなければ、耐性
結核菌を容易に獲得することになる。結核患者にはDOTS療法が必須である。
(獨協医科大学越谷病院臨床検査部教授 森 三樹雄)
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[声の広場-1]◆私の日常業務報告
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昨年秋、母校同窓会誌からの依頼原稿のなかで、日常検査が“やる人”と“読む
人”にいわば機能分担されてしまった結果、現在いろいろな程度はあるが、医療過
誤や医療訴訟の原因の一部になっているような内容のことを書きました。これを読
んだ同窓会の先輩会員から「同窓会地区総会でしゃべれ」といわれ、先日20分間の
特別講演としてしゃべりました。EDTAによる偽性血小板減少についての質問がだ
されました。血算、血液像の自動検査機器による検査の特性がそれほどは第一線の
medical practitionerまでは浸透していないことを感じました。
最近、我々の施設で溶血、乳びなどといった検体情報の診療側への伝達のすれち
がいが原因で、結果的に患者さんがおそらく不要な入院・検査を余儀なくされたと
いうことが生じました。オーダリング導入時の画面設計についての担当SEとのやり
とりのいくつかの場面が思い出され、悔しい思いです。検査判断料は上がり、実施
料は下がるというシステムのなかで、“診療側は始末書書かないのかよ!”と独
り言を言っています。
“臨床検査医に求められていることは何か”と常に問われます。我々の病院(特
定機能病院)においては、個々の検査項目の内容についての診療側からの質問は、
ほとんど検査部技師のレベルで対応しているのが現状で、一部不可能・不十分な件
について私たち講座のMDが後日回答するようにしています。今後“読む人”のな
かでは、この情報がさらに必要とされるであろうことを痛感しています。でもこれ
は“裏方さん”の仕事。大学に講座の存在意義を認めてもらうには、“インパクト
・ファクター”がどうしても必要です。この面の努力・配慮を怠ると、次世代の後
継者を育てることができないと自覚しています。
私自身がこれから学の内外でどれほどの業績をあげられるか、またその評価はど
うかなど不安な面が多々ありますが、本日この原稿書いている時、保健婦さん栄養
士向けに糖尿病についてのお話をする機会をいただきました。検査室の業務の重要
性を訴えたいと思います。
(獨協医大臨床検査医学 家入 蒼生夫)
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[声の広場-2]◆日本臨床検査医学会と関連学会
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日本臨床検査医学会は日本医学会の94ある分科会の一つと位置付けられている。
医学会の分科会はそれなりに権威のあるものであり、分科会になるにはいくつかの
条件を満たす必要がある。例えば同じ分野ではひとつという約束や、その他会員数
や、雑誌の発行、用語集の発行などいろいろな条件がある。すなわち、臨床検査医
学会は、臨床検査、臨床病理の分野で日本を代表する学会であると広く認知されて
いる学会と考えられる。このような外的なことを言うまでもなく、日本における臨
床検査医学という学問の発展の経緯を考えれば、検査医会の会員をはじめとし、臨
床検査に携わるものはこの学会を中心として活動し、学会が発展すべきものと考え
る。
一方で、日本自動化学会をはじめ、臨床化学会、臨床微生物学会、検査血液学会
など関連した学会がいくつか設立され活動している。自分も、昨年設立された検査
血液学会に参画しており、このような状況が臨床検査医学をよい方向に発展させる
ことを期待している。対象分野を狭くした検査の関連学会が存在するにはそれなり
の理由があり、その最大のものは、臨床検査医学がいわゆる横断的な学問であり、
臨床検査という共通項を持っているものの、縦割り的な学問体系の中ではどうして
も分散してしまう傾向があることである。学会で隣の会場の話となるとちんぷんか
んぷんということも珍しくない。そのため、専門的な分野の検査医学を集中的に議
論できる学会の必要性が高まったと思われる。さらに、海外で、同様の学会があり、
そのため国内の受け皿としての関連学会の必要性があるという点も考えられる。
しかし、このそれほどは広くはない臨床検査の分野で臨床検査医学会以外に専門
分野の関連学会が多くなると、それなりの混乱が生じかねない。どの学会に属した
らよいのか、どの学会に研究成果を発表したらよいのか、あるいは、専門検査技師
制度はどうなるのか、などなど。そして、杞憂かもしれないが、臨床検査医学会は
発展してゆくことができるのか? お互いに足を引っ張ることがないのか?
このような状況で、今年、臨床検査医学と臨牀化学会とが合同で総会をおこなう
ことは大きな意義があるとおもう。どのように住み分けたら、いずれもが発展する
のだろうかが今後の課題であるが、極めて個人的な考えであるが、兄貴分の臨床検
査医学会が、臨床検査という共通項に基づいて検査室運営とか検査情報管理学とか
遺伝子検査など、横断的な話題を中心に議論し、専門的な話題は関連学会を中心と
する。さらに、臨床検査医学会では、医学会や内科学会のように関連学会を統合す
るという使命があると考える。臨床検査医学を代表して外に向けて意見を公表する
とか、専門技師の資格にしても、資格認定そのものは専門学会が行うとしても、経
験年数やレベルをほぼ統一するとか、関連学会の統合という使命が大きくなるので
はないだろうか。
肝臓学会などのように総会も関連学会の統合として、臨床検査ウィークとして開
催されれば効率もよくなるであろう。いずれにせよ、臨床検査医学会と関連学会が
どちらも発展するような連合を形成し、臨床検査医学そのものに相乗的効果をもた
らすことを期待している。
(東京大学臨床検査医学 北村 聖)
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[声の広場-3]◆規制緩和(第4次医療法改正)と検査医
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規制緩和の流れの中で,第4次医療法改正では病院検査室必要設置義務の緩和,
すなわち,病院が施設中に検査室を置かなくてもよいという改正が盛り込まれまし
た。一部の報道では医師会からの要請が強かったとされています。厚生労働省の公
式見解は,「臨床検査施設については、検体検査の業務を委託する場合にあっては、
当該検査に係る施設を設けないことができることとするが、検体検査の業務を外部
委託する場合であっても、休日、夜間や救急時の体制が確保されていること」とな
っています。私見ですが、病院間の患者の獲得競争の中で、検査室のない病院が患
者から見て入院したい病院となりうるだろうかと考えると既存の検査室がすぐにな
くなることは起こりにくいと考えます。
それより、2003年からの新しい病床区分実施の方が病院と検査室に与える影響が
大きいと考えます。人員配置基準の変更により、特に看護職員は3:1が最低基準と
なります。構造施設基準(病床面積、廊下幅)の変更のため、広い病院が求められ
ます。これに診療報酬施設基準が加わると既存の一般病床削減、すなわち、療養病
床への転換および廃院が起き、それに伴い厚生労働省のいうところの検体検査を行
う検査室がない病院が多数発生すると予想されます。
検査医が現在勤務する病院は、特定機能病院、急性期特定病院、地域支援病院、
急性期病院などの中核となる病院です。これらの病院で、検査医がこれからは,医
療の中で何を担うのかということが真に問われる時代となります。病院として検査
医を置く利点は何かということです。例えば、院内感染対策に寄与するICD(Infection
Control Doctor)は縦割りの病院の中では,全科の感染症の情報を把握しやすい検査
医に相応しい仕事です。第16回日本環境感染学会総会の第一回ICD講習会でも多
数の検査医が参加していました。
改正案では,医療における情報提供の推進というのも盛り込まれています。医師
の略歴なども広告できる事項で、病院として検査医がいることを初めて広告できる
ことになります。
参考文献:西園寺 克:医療ビックバン9. 規制緩和vs臨床検査.医学の歩み
195(6):450〜454,2000.
(防衛医大検査部 西園寺 克)
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[声の広場-4]◆臨床検査技師が望む臨床検査医のあるべき姿
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会員の皆さん、一緒に働いている臨床検査技師の方々に「臨床検査医に望むこと
は?」と質問ができますか。この質問は,昨年12月9日に行われた第44回日本臨
床検査医学会近畿支部例会(例会長:佐守友博先生)のテーマであり、あえてこれ
を取り上げられた佐守先生に敬意を表します。参加者は臨床検査医、臨床検査技師
等約80名でありました。臨床検査医は教授、部長等役職者が主であり、日頃病理や
内科に携わっている方もおられました。演者は8名ですべて臨床検査技師の方々で
ありました。打ち合わせの時ほど威勢よくありませんでしたが、おおむねはっきり
と意見を述べられたように思います。
私どもに望まれていることは、検査専門の医師としての役割と管理者としての役
割の両方がありましたが、前者については、臨床との架け橋になり、連携をはかる、
仕事の機会を増やす、レベルアップをはかるなどのほか、臨床的意義、検査技術の
指導等でありました。
管理の面では、臨床検査医は臨床との接点としての部長で、臨床検査技師は検査
部の運営管理面での部長ではどうかとの意見がありました。臨床検査技師が部長に、
ということについては、検査医、技師双方、賛否両論あったように思います。かな
り本質的なことを含んでおり、討論の多くを費やしました。いずれにしても片手間
の部長ではなく、存在を身近にしてともに検査のことを考えて欲しい、担ぐだけの
役割をして欲しいとの意見であったと理解しています。
臨床検査医が少ないのは何故かとの質問があり、患者さんを診ないからでは、と
の検査医の返答がありましたが、演者の方から、検査には魅力があるにもかかわら
ず日頃の活動が不足しているのではないかとの厳しい指摘がありました。大学の場
合は、学生教育や研究があり、負担が大きいとの意見も出されました。
別に結論が出たわけではありませんが、我々は臨床検査技師とともに仕事をしな
ければ生きる道がないことだけは確かです。紙面では言い尽くせいない雰囲気があ
りましたが、参加者それぞれ頑張らねばと決意されたと思います。他の地区でも、
あるいは全国区でも率直に意見を聞ける機会があれば有益だと思います。
(天理よろづ相談所病院臨床病理部 松尾 収二)
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[声の広場-5]◆われら40代の研究
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何か声をという。研究しろと最近あちらこちらで聞く。そこで、オリジナル部分
が少ないが以下を考えた。いまの時代は40代の臨床検査医にとって順風なのか逆
風なのか、を研究の目的としたい。上の世代と比べると60代定年世代は、失礼か
もしれないが、我々からみれば高度成長期の食い逃げ世代であり、職場、組織、な
どへの忠誠心といったパスポート一つで最後までいけた。次ぎの50代はそれ以上
に過剰適応して、そのまま突っ走っていたら最近、競争のルールが変わった、大変
だ、と騒いでいるように見える。では、我々、40代はどうかというと、すでに国
(厚生省は消滅、厚生労働省になった)の援助は期待できない、生涯の身分の安定
ももはやフィクション、年功序列は崩れ、職場、組織への貸しは取り戻せない、損
した世代である、といえなくもない、という。
中高年の疲れた姿のみマスコミに取り上げられることが多し、そんなことを考え
て落ち込む人もいるかも知れない、が、人生の折り返しに立って現実を吟味しなが
ら、もういちど自分の夢を見直して、まだ半分は走れるとワクワクする、そんな中
年にとってはチャンス到来である。いつかはやりたいと思っていたことを実行に移
すときである。ユング(心理学者)は『中年は人生の正午である』と書いるそうだ
し、井上靖氏は60代に40代を振返って『眩しいほど若かった』と言っているら
しい。ビジョン、ロマン、夢といった大きな絵を描いて、ストーリーを語り、それ
に感動してみんながついてくること、そんなことができるような生き生きした生き
方と検査環境ができればいい。しかし、そうできなくてもいい。そんなものすごい
リスクの高いことができなくても、素晴らしい答えを結果としてだした人に対して
皆で拍手して、感動できればいい。自分なりにキャリアデザインを決めて、できる
こと、できないことの折り合いをつけることができたら40代は強くなれる。これ
が本研究の考察であり、結果でもある。材料、方法はない。順風か逆風か、それは
あなたしだい。
歴史を振り返って、現在は戦国時代、幕末維新、戦後の混乱期、そして今が第4
の能力主義の時代であると言われているそうである。検査環境の激変もそのような
すごい社会の変化の反映である。歴史に対して責任がおえるよう、がんばろう、同
世代の臨床検査医のみなさん。何ですか?50代、30代はどうかって?それは…
ご自身でお考え下さい。参考引用文献ありますので。
文献:PRESIDENTp48_,7.31/2000
(自治医大臨床検査部 久保 信彦)
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★JACLaP WIRE No.38 2001年05月01日
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