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JACLaP WIRE No.30 2000年9月29日
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============================≪ 目 次 ≫============================
[特別寄稿]◆殷鑑遠からず
[お知らせ]◆会員動向(2000年7月末現在)
[お知らせ]◆第14回JCCLS学術集会のご案内
[お知らせ]◆日本臨床検査自動化学会第32回大会のご案内
[お知らせ]◆第12回ELP診断技術フォーラムのご案内
[お知らせ]◆第17回電気泳動の自動化に関するオープンセミナーのご案内
[お知らせ]◆第40回日本臨床化学会年会のご案内
[お知らせ]◆第19回臨床検査医会総会のお知らせ
[お知らせ]◆JCCLS通信会員(個人会員)の募集
[お知らせ]◆学会・研究会などの案内募集
[ニュース]◆第2回EBDフォーラムの開催について
[ニュース]◆第8回GLM WSに参加して
[ニュース]◆認定臨床微生物検査技師制度について
[ニュース]◆「DRG/PPS対応検査のガイドライン」作成の経緯
[新規収載]◆ヒアルロン酸
[Q&A] ◆ストレス評価検査に用いる「夜間・早朝尿」の採取法
[論壇] ◆検査医に要望すること −ITで活かす臨床検査−
[声の広場]◆検査部のこれから
[編集後記]◆来るべき変化への対応
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[特別寄稿]◆殷鑑遠からず
日本臨床検査医会 常任幹事 村井 哲夫
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著者が永年にわたり検査室の運営に協力してきた Beth Israel Medical
Center(BIMC, ニューヨーク)は、1998年に誕生した Continum Partners
Inc.(医療サービス会社)により、St. Luke's Rousevelt Hospital, Long
Island College Hospital, New York Eye and Ear Infirmary 等の病院および
6カ所のAmbmatry Center 等とともに3,400の病床を持つ、17,000名の職員から
なる組織に統合された。
ここでは中央検査室はBIMCの一カ所にまとめられ、他はいずれも廃止され
た。一般の検体処理は新しく設備されたBIMCの検査室で実施されることにな
り、他の施設はサテライト検査室ないしはpoint of care testing (POCT) の
みとなっている。さらにBIMCの検査室の充実に伴い、それぞれのサテライト検
査室も不要とされPOCTのみとする再編が進められつつある。
病院検査室はこのように厳しい経営の見直しを求められており、多くの施設
は存亡の危機にさらされていると言っても過言ではない。
病院自身も Managed Care の下で再編を余儀なくされており、Ambulatory
and Primary Care の増加、入院期間の一層の短縮化、入院病棟の縮小化と少
数重度患者ケアへの移行を進めている。今後、運営が続けられる検査室でも、
それに対応できるより迅速な処理が可能な体制の整備が求められるとともに
Primary Care 重視により一般医は増加し、専門医が減少することから、専門
的な知識に基づく検査診断情報の提供などクライアント・サービス体制の充実
が要求されるようになると考えられている。
一言で言えば、これら米国の臨床検査領域に生じた変革は、年々増加する医
療費の削減を目的に導入された諸政策の結果である。日本より常に先を歩む米
国医療界、とりわけ病院検査室の環境の変化を知ることは我が国検査室の将来
を予見するのに役立つものと推察する。
我が国もまた増大する医療費の負担に耐えがたく、臨床検査にかかわるもの
だけをみても、その抑制のために単に検査技術料の削減だけでなく、さまざま
な対策がとられつつある。近い将来多くの病院において検査室の運営方針を根
本的に見直さざるを得なくなることも予想される。今からその対応策を考えて
おかなければなるまい。
[2000年8月25日 JACLaP NEWS No.54 巻頭言より]
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[お知らせ]◆会員動向(2000年7月末現在)
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《入会》
埼玉県立がんセンター臨床病理部 黒住 昌史
石川県立中央病院中央検査部 車谷 宏
北里大学医学部臨床病理 益子 貴臣
大阪府立羽曳野病院臨床病理検査科 菊井 正紀
都老人医療センター臨床病理科 新井 冨生
和歌山県立医科大学臨床検査医学 角田 圭子
久留米大学医学部第1病理 中島 裕
横浜市立大学医学部第2病理 青木 一郎
(入会手続き順)
《退会》
原岡 昭一
《物故》
伊原 勝雄
[2000年8月25日 総務・会計幹事 高木 康]
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[お知らせ]◆第14回JCCLS学術集会のご案内
(既に開催されましたが、資料性を考え掲載しました)
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日 時:平成12年8月26日(土)13:00〜15:00
場 所:順天堂大学有山記念講堂3階
テーマ:外部精度管理調査の統一化に向けて
主 催:JCCLS(日本臨床検査標準協議会)
連絡先:事務局 TEL: 03-3669-9110
[2000年8月25日 JACLaP NEWS No.54より]
* ========================≪ JACLaP WIRE ≫======================== *
[お知らせ]◆日本臨床検査自動化学会第32回大会のご案内
(既に開催されましたが、資料性を考え掲載しました)
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会 期:平成12年9月14日(木)〜15日(金)
会 場:パシフィコ横浜・会議センター
大会長:池田 済(埼玉医科大学総合医療センター)
メインテーマ:人間と社会のための臨床検査
連絡先:大会事務局 TEL: 03-3818-3205
[2000年8月25日 JACLaP NEWS No.54より]
* ========================≪ JACLaP WIRE ≫======================== *
[お知らせ]◆第12回ELP診断技術フォーラムのご案内
(既に開催されましたが、資料性を考え掲載しました)
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日 時:平成12年9月16日(土)9:00〜14:05
場 所:お茶の水スクエアA館3階ヴォーリズホール
(千代田区神田駿河台1-6)
主 催:ELP診断技術フォーラム、常光
連絡先:TEL: 044-811-9211
[2000年8月25日 JACLaP NEWS No.54より]
* ========================≪ JACLaP WIRE ≫======================== *
[お知らせ]◆第17回電気泳動の自動化に関するオープンセミナーのご案内
(既に開催されましたが、資料性を考え掲載しました)
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日 時:平成12年9月16日(土)9:00〜12:10
場 所:ランドマークホテル
(横浜市みなとみらい2-2-1-1)
主 催:電気泳動自動化研究会、オリンパス
連絡先:TEL: 03-3251-9492
[2000年8月25日 JACLaP NEWS No.54より]
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[お知らせ]◆第40回日本臨床化学会年会のご案内
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会 期:平成12年10月30日(月)〜31日(火)
会 場:仙台市戦災復興記念館(仙台市青葉区大町2-12-1)
年会長:後藤 順一(東北大学大学院屋化学研究科臨床分析化学分野)
連絡先:事務局TEL: 022-217-6819
[2000年8月25日 JACLaP NEWS No.54より]
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[お知らせ]◆第19回臨床検査医会総会のお知らせ
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11月2〜4日に福島県郡山市で開催される臨床病理学会総会に合わせ、常任幹
事会・全国幹事会、総会・講演会を下記の要領で行います。会員の方は奮って
御参加下さい。
日 時:平成12年11月1日(水)
常任幹事会:10:00〜11:00
全国幹事会:11:00〜12:00
総会・講演会:13:00〜15:00
場 所:福島県郡山ビックパレット・コンベンションホール
講演会:「経験とエビデンス:臨床医学の実践」
岡本高宏(東京女子医科大学 内分泌疾患総合医療センター内分泌
外科)
(JACLaP NEWS No.54に掲載されたお知らせは幹事会の時間に誤りがあります
ので、このお知らせの通りにご訂正下さい)
[2000年8月25日 総務・会計幹事 高木 康]
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[お知らせ]◆JCCLS通信会員(個人会員)の募集
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日本臨床検査標準協議会(JCCLS: Japanese Committee for Clinical
Laboratory Standards)は1985年に産・官・学の三者(厚生省薬務局、健康政
策局、大臣官房、国立予防衛生研究所、14学会、8協議団体)が加盟して発足
致しました。
本協議会の目的は、日本における臨床検査の向上、発展を目指して臨床検査
の標準設定のための協議・検討ならびに提案を行うことにあり、日本国内だけ
ではなく、NCCLS(米国臨床検査標準協議会)やISO(国際標準化機構)とも緊
密な連携を取りながらわが国の意見を国際標準に反映させるよう、臨床検査の
標準化活動を続けております。
本協議会には正会員(産・官・学)、維持会員(企業団体)に加えて、本会
の活動に関心を持つ方を通信会員として個人の資格での加入も認めておりま
す。通信会員の年会費は5,000円ですが、会員にはJCCLS会誌(年4回刊行)を
お送りするほか、国内外の各種催しもののご案内を致します。また、通信会員
の方にはNCCLSが刊行している、様々な標準化に関するDocumentも、本会を通
じてほぼ半額で購入頂けるよう便宜をはかっております。現在はごく少数の方
のみが通信会員として入会されているに過ぎませんが、臨床検査の標準化に関
心をお持ちの皆様には是非ご加入を頂きたくお誘い致します。
入会申込書はJCCLS会誌にとじ込みが行われておりますほか、臨床検査関連
の各種学会に際しても展示場その他で入手可能です。また、直接JCCLS事務局
へFAXやE-mailで入会申込書をご請求頂いても結構です。
入会を希望される方は、日本臨床検査標準協議会事務所までご連絡下さい。
〒103-0008 東京都中央区日本橋中洲1-1
日本橋和崎ビル5階
日本臨床検査標準協議会
TEL/FAX: 03-3669-9110
E-mail: jccls@mx1.alpha-web.ne.jp
[2000年8月25日 日本臨床検査標準協議会会長 河野 均也]
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[お知らせ]◆学会・研究会などの案内募集
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JACLaP NEWS編集室では今後、会員の先生方の主催される学会・研究会・そ
の他のご案内を掲載していく方針です。この目的は、幅広い分野にわたり、指
導的立場で活躍されている検査医の活動状況を、本会員および振興会会員に広
くお知らせしていくことにあります。本主旨をご理解の上、ご協力下さいます
よう宜しくお願い申し上げます。
なお、JACLaP NEWSの発行は年6回(偶数月の月末)で、原稿の締め切りは発
行の1ヶ月前とさせて頂いております。皆様からのご連絡をお待ちしておりま
す。
JACLaP NEWS編集室
〒755-8505 山口県宇部市南小串1-1-1
山口大学医学部附属病院検査部 松野 容子
FAX: 0836-22-2581
E-mail: [email protected]
(JACLaP WIRE編集室 [email protected] へお知らせいただいても結構です)
[2000年8月25日 会報編集主幹 松野 容子]
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[ニュース]◆第2回EBDフォーラムの開催について
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21世紀医療のキーワードとして、根拠に基づく医療(EBM)と遺伝子診療があ
げられる。近年、EBMが注目を集めているが、現状では主として適切な治療を
目指した活動に終始している。適切な治療をするためには、適切な診断が不可
欠である。すなわち、根拠に基づく診断 (Evidence-Based Diagnosis, EBD)
が必要であり、それを推進するための情報交換の場としてEBDフォーラムを発
足した。昨年に続いて、今年度も2000年10月28日14:00〜18:00、経団連会館
国際会議場において第2回EBDフォーラムが開催される。主催はEBDフォーラム
実行委員会、共催は(株)エスアールエル、(株)住友金属バイオサイエン
ス、(株)三菱東京製薬、(株)第一化学薬品、後援は日本臨床病理学会臨床
検査情報学専門部会である。実行委員会は、顧問に高久史麿自治医科大学長と
黒川清東海大学医学部長、世話人として河合忠、菅野剛史、神辺眞之,中原一
彦、福井次矢、渡邊清明の各教授が担当している。
今年度のプログラムに予定しているのは、教育講演1「検査はどのように役
立っているか(仮題)」(福井次矢先生)、教育講演2「保健医療におけるメ
タアナリシスのメリット・デメリット(仮題)」(折笠秀樹先生)、パネル・
ディスカッション「健診における判定基準−コレステロール値をどう読むか」
である。とくに、パネル・ディスカッションでは、血清総コレステロール値の
判定基準値を中心に問題点を討議する。日本動脈硬化学会は高コレステロール
血症の診断基準値として≧220mg/dlを提案しているが、その根拠は何か。50歳
台健康女性の約半数は220mg/dl以上を示すが、果たして女性の心筋梗塞患者は
多いのか。いろいろな立場の専門家から、可能な限りエビデンスに基づいた解
説をお願いしているので、ホットな議論が展開されよう。
ICPC/C-SRLMホームページ:http://ebd.umin.ac.jp/srlm/
[2000年8月25日 国際臨床病理センター 河合 忠]
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[ニュース]◆第8回GLM WSに参加して
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第8回GLM WS は、小雨の降るなか自治医科大学研修センターで開始された。
臨床検査医学とはあまり積極的に関わってこなかった病理医(AP)の私が、ひょ
んなことから腫瘍分子生物学検査科なるモノを立ち上げることになった。藁に
もすがる思いで応募した臨床検査の勉強会の一つがGLM WSである。
まず、臨床病理学会長もひっくるめて、郁ちゃん、均さん、熊さん、康ちゃ
ん(ヤッチャン)、……と呼んでくださいという和やかな雰囲気のもと、参加
者の自己紹介が行われた。終わるとすぐに、すっくと立ち上がった純子さん
(村上純子 task force、以下TF)から、各人の使った時間が発表され、寸評
が下された。GLM WS修了証を手に入れた今の私には、EV(evaluation)と学習
者へのフィードバックの大切さが良くわかっているものの、その時は「これは
大変なところへ来てしまった」と思ったものである。参加者の間では、開催地
案内の電車時刻表の誤りも我々に与えられた試練の一つだったのではないか、
と真顔でささやかれた。その後、4人ずつ3グループに分かれた参加者は、TF
による作業の簡単な説明とそれに続くグループ別作業、結果のまとめと参加者
全員の前でのプレゼンテーションから構成される3つのセッションを2日間にわ
たってめまぐるしくこなしていくことになる。
やっている時は無我夢中で何が何だか解らなかったが、後から振り返ると、
(1)文殊カードによるGLM問題点の発見、(2)前のセッションを踏まえたGIOの設
定とSBOsのリストアップ、(3)設定されたGIO、SBOsに対するLSとEV、と実に有
意義な内容である。日頃のほほんと過ごしている筆者には、GLMという本来の
命題抜きにしても、とても刺激的で有意義な時間であった。物事を解決してい
くための具体的なストラテジーを学んだ気分である。また、クライシスマネー
ジメントゲームや「番外ミッドナイトセッション」も楽しい思い出となってい
る。
末筆ながら、全TFの皆様に参加者を代表して心から謝意を表したい。なお、
文中、略語が多くてわからないと憤慨されている方、是非、次回のGLM WSへご
参加を。とても為になります。
[2000年8月25日 神奈川県がんセンター臨床研究所 宮城 洋平]
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[ニュース]◆認定臨床微生物検査技師制度について
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平成12年4月1日をもって認定臨床微生物検査技師制度協議会が発足し、会長
に山口惠三東邦大学教授が就任した。認定臨床微生物検査技師制度は臨床微生
物学と感染症検査法の進歩に呼応し、これらに関連する臨床検査の健全な発展
普及を促し、有能な「認定臨床微生物検査技師」の養成を図り、より良質な医
療を国民に提供することを目的とするものである。このために日本臨床微生物
学会理事長、日本臨床衛生検査技師会会長、日本臨床病理学会会長、日本臨床
病理同学院院長およびその他の若干名を含む認定臨床微生物検査技師制度協議
会を設置した。そして、本制度の維持と運営の実務を担当するための審議会
を、同協議会の下に設置した。審議会会長は、猪狩 淳順天堂大学教授であ
る。今後は、同審議会で具体的内容、認定制度の実施に関する事項について審
議することになる。
なお日本臨床微生物学会認定技師制度検討委員会(委員長 熊坂一成日本大
学助教授)による数年にわたる検討の結果が、本制度のたたき台となってい
る。同委員会の基本的見解による、この制度により養成されるべき望ましい臨
床検査技師像は以下のとおりである。
(1)臨床微生物検査の分野に偏らず、臨床検査全般にわたる基本的な知識と
技術を有する。(2)生涯研修を通じて、臨床微生物学と感染症検査法の最新の
知識と技術を恒常的に修得することにより、さらに高度な思考力・判断力・創
造力を養うことができる。(3)感染症のチーム医療において、医師、看護婦、
薬剤師、その他のスタッフと協調できるより望ましい態度・習慣を身につけ
る。((4)と(5)は紙面の関係で省略)
このように、本制度は協議会会長、審議会会長そして各種委員長を務める何
人かの本会正会員のリーダーシップのもとに、具体的な作業が進行している。
しかし、この制度の主役は、あくまでも全国の第一線で臨床微生物検査を担当
している臨床検査技師の方々である。臨床検査に関わる全ての方々が、本制度
の意義を正しく理解し、長期的ビジョンを持って、これを継続的に発展させる
ことに一致団結されるよう,改めて強く希望する。
[2000年8月25日 日本大学臨床病理 熊坂 一成]
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[ニュース]◆「DRG/PPS対応検査のガイドライン」作成の経緯
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「DRG/PPS対応検査のガイドライン」は日本臨床病理学会と厚生省社会保険
基礎調達委託費(急性期入院医療の定額払いに関する調査研究事業)研究班と
の協同作業で一次案および二次案が作成された。お陰様で反響は当初思ったよ
りはるかに大きいと思っている。この事についてはすでに今年の本検査医会雑
誌Laborarory Clinical Practiceに書いたばかりであり、その中に作成経緯も
書いたつもりである。それなのに、さらに表題の依頼を受けたのは「もう少し
裏話があれば書きなさい」という意に勝手に解釈し、故関口 進先生の小委員
会との関わりについて簡単に述べる。
平成10年1月に私は、突然、日本臨床病理学会の「日常初期診療における臨
床検査使い方小委員会」の委員長を櫻林郁之介会長から命じられた。この小委
員会の委員長は平成元年から長い間、関口 進先生がなさっておられ、すでに
各種疾患の検査の使い方に関する出版がなされていた。
私が会長から委員長に命じられた理由の一つは、多分関口先生が防衛医科大
学校を退職されアメリカで暮らされるので、後任に私を推薦されたのだと推察
した。
私はこの委員会は非常に臨床病理学会にとって大事であり、拝命された以上
はきちんとやるべきと思った。しかし、正直な気持ちは、何せ私はこの領域と
いうか、臨床検査の使い方については臨床病理学会で全く実績のない人間で
あったし、これまでに委員も経験してない者がいきなり委員長をして良いのか
ということであった。そういうことで、やらねばならないという責任感と、本
当に実のある物ができるのかという不安感が同時に私の胸中を去来した。
その後、何となく時間が過ぎたが、平成10年3月初めに関口先生急逝の報を
受けた。この時、私はこの小委員会を今後しっかり運営せねばならないと直感
した。
その後、事務局の川合陽子先生の周到な準備、厚生省の企画官のご協力、ま
た委員会メンバーの先生方の多大なご尽力などがあって今日のガイドラインが
ある。しかし、「DRG/PPS対応検査のガイドライン」はベースに前委員長の関
口 進先生の陰ながらの力があって作成されたのは事実である。
[2000年8月25日 慶應義塾大学中央臨床検査部 渡辺 清明]
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[新規収載]◆ヒアルロン酸
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ヒアルロン酸(準用先区分D007-39)(区分D-2)
平成12年9月1日より適用の血液化学検査
保険点数:300点 定量検査
基準範囲:50 ng/mL未満
直線性:800 ng/mLまで
製品名:エルピアエースHA
製造元:(株)ヤトロン Tel 03-3862-1761
発売元:中外診断科学(株) Tel 03-3987-0705
測定法:ラテックス凝集法 300テスト/キット(シングル測定)
結果が出るまでの時間:約20分 自動化:可
同時再現性:0.5%〜3.5% 日差再現性:2.0%〜5.0%
検体:血清又は血漿(EDTA、ヘパリン)
【特徴】 検体中のヒアルロン酸は、ヒアルロン酸バインディングプロテイン
感作ラテックスと反応し、凝集塊を形成する。この凝集塊を光学的に測定し、
ヒアルロン酸濃度を求める。
ヒアルロン酸は、N-アセチルグルコサミンとグルクロン酸が交互にβ-1,4
結合により重合した酸性ムコ多糖類で、皮下組織を接合させる作用を有し、臍
帯、関節腔の滑液および眼の硝子体に含まれている。ヒアルロン酸は、肝疾
患、リウマチ性関節炎などの線維化をともなう疾患において上昇し、血中ヒア
ルロン酸濃度の測定は、肝疾患及び慢性関節リウマチの病態把握に有用で、肝
臓の線維化にともなう合成亢進や肝類洞内皮細胞の機能低下による分解障害を
反映するマーカーであるとされている。本キットはラテックス凝集法を原理と
した均一測定系であり、B/F分離が不要なことから、自動的に分析できる。測
定時間は約20分以下である。
本キットと既存のサンドイッチ バインディングプロテインアッセイ法であ
るヒアルロン酸プレート「中外」との相関は、血清検体でr = 0.974、y =
1.01x+3.6、血漿検体でr = 0.981、y = 0.96x+5.1と良好である。
【保険請求上の注意】 ただし、本検査は慢性肝炎の患者に対して、慢性肝炎
の経過観察および肝生検の適応の確認を行う場合に算定できる。
【文献】 上野隆登ら:肝疾患における血清ヒアルロン酸濃度測定の意義.肝
臓、32(8):767-774、1991
[獨協医大越谷病院 森 三樹雄]
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[Q&A] ◆ストレス評価検査に用いる「夜間・早朝尿」の採取法
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(Q)17-OHCS、17-KS-Sの測定における採尿法ですが、前日の午後(pm15:00〜
18:00)の活動状態を反映する指標として、「夜間・早朝尿」の17-OHCS、17-
KS-Sを測定したいと思います。この採尿の方法として、ある論文に「就床前排
尿し、起床時採取」とありましたが、
(1)夜中に排尿したくなったとき、この尿は捨てて起床時のみ採取すればよ
いのか、夜中の分も蓄尿するのか
(2)起床時の採取時は、中間尿でなく、出始めから出終わりまで全量採取を
すると考えて良いのか
(3)クレアチニン比で表示するので、尿量の確認は不必要で、全量採取した
もの(蓄尿または起床時全量)の一部を検査すれば良いのか
という点が不明ですので、教えて下さい。(大学研究者)
(A)順番に沿ってお答えします。
(1)就寝後から朝まですべての尿をためる必要があります。つまり、夜中に
でた尿も蓄尿することが重要です。
(2)起床時の尿は、全量を採取します。中間尿だけではありません。起床時
に採取した尿も夜中の蓄尿に加えます。
(3)尿量の確認は不要です。蓄尿の一部(約80ml)を容器に移して提出しま
す。
[註]なお本検査は、住金バイオサイエンスでも受託しているようです。詳細
はそちらにお問い合わせ下さい。
回答日:2000年9月28日
回答者:認定臨床検査医 池田 斉(No.277)
[ホームページ/臨床検査ネットQ&A(生化学検査)]
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[論壇] ◆検査医に要望すること −ITで活かす臨床検査−
第一化学薬品株式会社 今 哲昭
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臨床検査を取り巻く環境が厳しさを増している中で、診断薬メーカーの間で
は臨床検査はどうなるのかと将来を危ぶむ声が多く聞かれる。その点からする
と、検査医の先生方に要望したいことは「保険制度における臨床検査の確固た
る地位の確保」にほかならない。その対応策の一つは、臨床病理学会が中心と
なり検査医会や関連学会等の協力で作成中の「DRG/PPS対応検査ガイドライ
ン」であり、将来の臨床検査の適正化や地位の確保を導き出すものと期待して
いる。
さて、沖縄サミットでも採択されたように世は情報技術(IT)の時代である。
IT革命と言われるようにこの変化は黒船到来にも匹敵するようなことらしい
が、このITを臨床検査で何とか活用できないものだろうか。例えば、既に実施
されている先生もいると思われるが、ネット上に「治療と適正な臨床検査の実
践法」というような情報サイトを設置し、日常診療へのサービス、研修医や学
生の教育、また検査技師の実践教育を行う。そして臨床検査を実施する上での
医師への助言、検査点数や管理料など診療報酬についての解説、更に病院経営
に関係する情報サービスなどを検査医が中心となり全国規模で実践するのはい
かがであろうか。
次に患者さんへのIT活用である。最近はインフォームドコンセントにより、
病院にかかると医師は丁寧に色々説明してくれるようになった。ところが、現
実は臨床検査など専門的な内容は理解できない人が多いようである。そこで、
患者さんに病院のホームページにより,臨床検査について解説するシステムを
提供する。例えば患者さん用に「臨床検査の解説」などを作成し、将来はカル
テの内容開示が行われたときにも役立つようにしたい。そのことは、患者さん
や一般社会に臨床検査を理解させることになり、「検査漬け」などの批判をも
消滅させることになる。また、患者さんが医学知識を学ぶことにより検査や薬
の選択が可能になり、患者さんの自己責任による医療の選択という新しい形が
生まれる可能性もある。
漠然とした内容となったが、我々メーカーも医療に有用な診断薬の開発とい
う一方の責任を担い、産学共同で臨床検査の確固たる地位を築くことを願うも
のである。
[2000年8月25日 JACLaP NEWS No.54より]
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[声の広場]◆検査部のこれから
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この6月に自治医大で行われたWorkshop、"Good Laboratory Management"に
参加し、組織運営の方法につきたいへん有益な経験をすることができました。
臨床検査医に限らず、管理業務をする立場になった医師たちがこのような
know how を見につけることは、チーム医療の中で求められるリーダーシップ
を発揮するうえで役立つと思います。このworkshopで話題となった“検査部の
これから”につき私の考えをまとめてみました。
検査部には以下の2点が大切であろうと考えています。
1) 医療は経済活動の下に行われており、限られた経費のなかで有効な検査を
行うこと。
2) 臨床の現場では検査データは、個々の数値でなく全体として判断されてい
ることを認識する。そのためには検査部は臨床の一員であることを目指し、
積極的に外来、病棟へ出向くこと。
この二つは独立した事柄でなく、密接に関係しています。臨床診断に必要な
精度と迅速性はどの程度であるか、あるいは、何が診断の根拠としてより重要
であるかを体験し、それぞれの検査の重みに気づけば、限られた予算の中でど
の検査を選ぶかが自ずと見えてくるでしょう。また、電子機器の性能向上とと
もに検査データを出す事は特殊技能でなくなってきました。一方、臨床医は日
常診療の中で、検査データの微妙な変化に気づかないことや思い込みによる
データの見逃しをする事がありこれを補佐できる能力をもった検査部は手放せ
ない存在となるでしょう。
データの綜合的解釈こそがこれからの検査部に求められる能力だと信じてい
ます。このためには検査部の職員は積極的に外来、病棟へ出向いて他のスタッ
フと供に治療に参加できる関係を確立することが求められています。
[2000年8月25日 京都第二赤十字病院病理科 加藤 元一]
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[編集後記]◆来るべき変化への対応
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ここのところ毎号、新入会員のお知らせがあり、会員数の増加は心強い限り
です。JACLaP WIREの記事もより一層充実してきています。また、会員からの
投稿も多くなっており、即時性のある情報提供ならびに意見交換の場として活
用されていると思います。その一方、特別寄稿で村井先生の示された、HMOに
支配されたアメリカの病院の検査室の姿などから、将来の我々の環境などの変
化が推定されます。だからこそ、専門医による付加価値のある検査情報の提供
がより一層重要になるでしょう。そのためには我々臨床検査医は今以上に研鑽
を積み、来るべき将来の変化に対応できる能力を養う必要があると考えていま
す。JACLaP WIRE、ホームページ等、臨床検査医会から発せられる貴重な情報
や双方向の通信手段を活用して、診療上の疑問点の解決や研鑽を積まれること
を希望いたします。
[編集委員 土屋 達行]
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JACLaP WIRE No.30 2000年9月29日
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