JACLaP WIRE No.29 2000.08.25 



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          JACLaP WIRE No.29 2000年8月25日
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[ニュース]◆第17回認定臨床検査医認定試験合格予定者
[ニュース]◆認定臨床検査医認定試験を終了して
[ニュース]◆携帯電話による健康への影響の解明には更なる情報が必要
             〈WHOトピックス Press Jun. 2000 WHO-135〉
[ニュース]◆食肉動物に用いる抗生物質についてWHOが新提案
             〈WHOトピックス Press Jun. 2000 WHO-136〉
[ニュース]◆暴力とHIVの関係に注目
             〈WHOトピックス Press Jul. 2000 WHO-137〉

[編集後記]◆原子力潜水艦事故の教訓
 
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[ニュース]◆第17回認定臨床検査医認定試験合格予定者
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 第17回認定臨床検査医認定試験の合格予定者が日本臨床病理学会より以下
の通り発表された。

  氏 名     所   属
―――――――――――――――――――――――――――――――――
 安東 由喜雄  熊本大学大学医学部 臨床検査医学
 飯沼 由嗣   名古屋大学医学部付属病院 検査部
 伊藤  章   横浜市立大学医学部付属病院
 岡部 英俊   滋賀医科大学 臨床検査医学講座
 緒方  衝   海上自衛隊潜水医学実験隊
 小野 順子   福岡大学医学部 臨床検査医学
 海渡  健   東京慈恵会医科大学付属病院 中央検査部
 加藤  圭   防衛医科大学校病院 検査部
 加藤 元一   京都第二赤十字病院 病理科
 亀井 敏昭   山口県立中央病院 病理科
 岸川 正大   愛知県コロニー発達障害研究所
 北本 康則   熊本大学医学部 第三内科
 木村 孝穂   群馬大学医学部附属病院 臨床検査医学
 小林 佳美   秋田大学医学部附属病院 中央検査部
 小杉 眞司   京都大学医学部付属病院 検査部
 齋藤 勝彦   富山市立富山市民病院 中央研究検査部病理科
 佐々木 なおみ 国家公務員共済組合連合会 呉共済病院 臨床病理科
 三家 登喜夫  和歌山県立医科大学 臨床検査医学
 庄司  優   弘前大学医学部 臨床検査医学講座
 白石 泰三   三重大学医学部 病理学第二講座
 鷹巣 晃昌   京都市立病院 検査科
 千葉 仁志   北海道大学医学部付属病院 検査部
 月山 雅之   山本病院
 辻本 正彦   大阪警察病院 臨床検査科
 津田 博子   中村学園大学 家政学部
 早川 清順   愛知県厚生農業協同組合連合会 更生病院 病理科
 原田  大   札幌医科大学 第一病理学教室
 日野田 裕治  山口大学医学部 臨床検査医学講座
 廣川 満良   徳島大学医学部 第1病理
 藤原 久美   医療法人里仁会 興生総会病院 病理
 藤原 睦憲   日本赤十字社医療センター 検査部
 藤原  恵   広島赤十字原爆病院 病理部
 益子 貴臣   北里大学医学部 臨床病理学教室
 松熊  晋   自衛隊中央病院 研究検査部 病理課
 松永  隆   大阪府立成人病センター 臨床検査科
 宮崎 彩子   大阪医科大学 病態検査学教室
 物部 泰昌   川崎病院 病理部
 森野 英男   関西労災病院 病理科・第2検査科
 山田 鉄也   岐阜市民病院 中央検査部
 山鳥 一郎   国立岡山病院 臨床検査科
 横山 繁生   大分医科大学 病理学講座
 渡辺 伸一郎  東京女子医科大学 臨床生化学科
 和田 久泰   岐阜大学医学部 臨床検査医学講座
―――――――――――――――――――――――――――――――――
(合計43名)
                            以上

[2000年8月21日 編集委員 西堀 眞弘]
 
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[ニュース]◆認定臨床検査医認定試験を終了して
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 第17回認定臨床検査医認定試験は、大阪医科大学病態検査学教室でお引き
受けし、平成12年7月28日と29日大学の講義室及び実習室に於いて実施
した。滞りなく終了し、責任が果たせて良かったと思っている。受験者数51
名であり、そのうち再受験が7名であった。44名の初受験者のうち、日本病
理学会認定病理医23名、日本内科学会認定内科医14名、日本外科学会認定
医1名、日本小児科学会認定医1名,その他5名であった。全科合格者は初受
験者38名、再受験者5名で合計43名であった。不合格の受験者は1ないし
2科目の部分不合格であった。合格率84.3%ということになる。不合格者を上
記認定医の分類別に見るとほぼ均等であった。不合格の方々は、不十分な知
識、技術を再度、習得し来年も受験して下さるよう是非お願いしたい。

 この認定試験は臨床検査を充実させ、医療に貢献すること、そのための医師
の活動に一つの指針を示すことが一つの目標であろう。保険診療報酬の改定に
よって1996年4月1日より、「検体検査管理加算」100点/入院患者/
月が導入され、1997年4月1日からは、200点に増額され、さらに、
2000年4月1日より、「検体検査管理加算(I)」25点/外来患者/月
が創設され、また、従来の検体検査管理加算から「検体検査管理加算(II)」へ
組み替えが行われ、200→220の増額が行われた。

 加算(II)は病院内での検体検査の判断の補助、検体検査全般の管理・運営の
できる常勤医がいることが条件である。今後はこの加算の条件を満たすような
検査医を認定することが、試験の基準の一つとなろう。臨床検査医認定試験の
制度を1984年に発足させ、ここまで発展させてこられた諸先輩の目指した
検査医が、この加算の条件を満たすものと考える。検査の判断の補助、管理・
運営ができれば、学生や後進に対して、教育・指導もできるであろうし、学問
の発展にも寄与できよう。検査医としての資質の基準を認定するために、この
試験制度をみんなで協力し発展させねばならない。毎年同じ事をするのではな
く、或いは実行委員長の采配で、かってに基準が年毎に変わったりする事のな
いよう、十分議論を尽くし、日本臨床病理学会の教育委員会および認定臨床検
査医審議会でまとめて、良い方向を示すことが必要である。

 試験は資格を受験生に与えると同時に、(講習会に加えて)受験そのものが
研修なのである。受験前と後では,検査にたいする心構えや考え方が改善する
程の試験の内容でありたい。正しい流れを作りこれを継承する見識・熱意・実
行力のある人を委員として選び、ゆっくり交代していくのが良い。検査医の役
割をもっと議論して、整理し、習得すべき知識、能力を具体的に示し、JACLaP
WIREあるいは、検査医会ホームページに掲載し、出版し、周知させ、これから
認定される人は、それをガイドラインとして勉強し,既に認定された人もそれ
に常に目を通し、実力をつけ、検査部の管理・運営、学生教育に生かしていく
ようにすればよいと考える。

 受験者を広く募集することも重要である。受験を薦めるよう関係各方面に文
書を出すのが良い。試験の重要性とこれまでの成果や役割を説明し、受験資格
(緩めるのがよい)や講習会(もっと充実させる)を解説し、認定医のメリッ
トを書いたパンフレットを、遅くとも8ヶ月前に、配布してはどうか。実行委
員長を数年先まできっちりした組織で決定し、理念と実内容を継承していく必
要がある。

 今回の試験に委員を務めていただいた先生方に厚くお礼申し上げます。

[2000年8月21日 平成12年度試験実行委員長 清水 章
            (大阪医科大学病態検査学教授・中央検査部長)]
 
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[ニュース]◆携帯電話による健康への影響の解明には更なる情報が必要
             〈WHOトピックス Press Jun. 2000 WHO-135〉
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 世界各国で人口の半数以上が携帯電話を利用し、2005年には世界中で16億人
が利用すると予想されている。しかし、携帯電話や無線基地から発射される電
磁波が健康にどのような影響を及ぼすかは依然不明である。

 WHOでは次のようなことを今後、調査することにしている。携帯電話が脳活
動に及ぼす変化や睡眠パターンへの影響を調べる。各国では健康に留意して電
磁波使用上のガイドラインを作成する必要がある。健康面での予防的措置とし
て携帯電話の製造会社が電磁波を減らすよう努力することが必要である。子供
に対する影響を少なくするために通話時間を短くしたり、スピーカーフォンを
用いて頭部や他の身体への影響を少なくすることも必要である。携帯電話の電
磁波を吸収するという器具があるが、その必要性は科学的には証明されていな
い。また、電磁波発信基地の周囲が健康に危険であるか否かについての証明も
ない。現在10か国で大規模な疫学的調査が実施されており、2003年までに結果
が出る。携帯電話の使用と健康への影響としては、ある種のがんや脳活動の変
動と電磁波に関連性があるといわれているが、現状では不明である。

[ホームページ/世界の保健医療ニュース]
 
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[ニュース]◆食肉動物に用いる抗生物質についてWHOが新提案
             〈WHOトピックス Press Jun. 2000 WHO-136〉
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 食肉動物の病気を防止するために使用されている抗生物質に対し、WHOが危
険性を指摘し世界規模で規制する。食肉動物に対し抗生物質の過剰投与や誤投
与により、ヒトに病気を起こす細菌が耐性となってしまった。このような耐性
菌は食肉食品を通してヒトに感染する。このような感染症には抗生物質が全く
効かないため治療が困難となる。WHOの規制事項は1)食肉動物に投与している
全抗生物質に処方箋発行の義務、2)ヒトの病気に使用している抗生物質で、動
物の成長にも用いられていて安全性の評価が確定していないものの使用禁止、
3)各国で食肉動物に対する抗生物質の使用に対し監視システムの構築、4)ヒト
に用いる薬物に耐性を起こすような抗生物質について安全性の確認、5)ヒトの
健康を守るために健康障害や感染予防についてのモニタリング、6)食肉動物に
対する抗生物質の過剰投与や誤投与を防ぐための獣医のガイドライン作成  な
どである。ヨーロッパ、アジア・北アメリカで見られたのは、食肉食品を介し
耐性サルモネラ菌による感染症が発症し、下痢、敗血症を起こし死亡に至った
症例の報告がある。一方、耐性エンテロクッカス菌感染症に対しては免疫不全
患者では抗生物質が全く効かないため治療上の大きな問題となっている。

[ホームページ/世界の保健医療ニュース]
 
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[ニュース]◆暴力とHIVの関係に注目
             〈WHOトピックス Press Jul. 2000 WHO-137〉
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 WHOのBrundland事務局長が南アフリカのダーバンで行われた第12回エイズ国
際学会で暴力とHIV感染との関連について、女性に対する暴力がHIV感染の
流行に重要な役割を果たしていると述べた。アメリカとケニアからの研究発表
によるとHIV感染女性の5分の1は夫、パートナー、家族、地域社会から暴
力を受けている。このような女性はHIV感染者であることを隠し、自分が暴
力、中傷、疎外などされないように身を守っている。暴力の恐れから女性が自
発的にHIV検査やカウンセリングを受けなかったり、夫にコンドームを用い
るよう要求することができない。HIV感染女性は、ウイルスの母子感染を防
ぐため母乳を避けたいと思うが、まわりの人からHIV感染者ではないかと疑
われることを恐れて黙っていることが多い。HIV感染者であることを宣言す
ることにより、子供のHIV治療が可能になり、HIV感染率を下げることが
できる。HIV感染女性が、家庭内の暴力、レイプ、性的虐待について発言す
ることが重要である。望んでいないセックスや防御していないセックスなどを
女性自身が望んでいないことを発言し、社会がこれを支持することが必要であ
る。

[ホームページ/世界の保健医療ニュース]
 
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[編集後記]◆原子力潜水艦事故の教訓
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 ロシア原子力潜水艦の事故は、われわれに大きな教訓を残した。8月15日に
バレンツ海の海底で航行不能になって以来、事故の内容、原因の究明、救出活
動、放射線漏れの有無などについてロシア当局から正確に報道されなかった。
ロシア政府が、財政的な困難を理由に自力の救出活動が後手後手となり、時間
だけが経過するという最悪の状況になり、世界中から非難された。さらに、
プーチン大統領も夏季休暇中で積極的に救出作業の陣頭指揮を取らなかったた
め、マスコミから集中砲火を浴びた。救出活動についても英国やノルウェーな
ど外国への救出活動依頼も遅れ、遺族を始めロシア国民から非難が上がってい
る。8月23日の時点で、プーチン大統領は遺族に面会し弔意を表しているが、
遺族たちの怒りは収まらない。今回の事件は事故後の対応に大きなミスが続発
し、しかも118名の乗組員全員が死亡したため責任の所在が問われている。今
回の事故でわかったことは、プーチン大統領や軍の首脳陣には、危機管理上の
マニュアルや心構えがなかったことと、今回の事故を正確に報告する姿勢がな
かったことである。

  われわれの周囲も見ても、医師や看護婦による患者の取り違え、診断、手
術、治療の間違い、薬剤の投与量や投与方法のミスなど、医療事故が毎日のよ
うに紙面をにぎわせている。検査部においても輸血検査をはじめとする緊急検
査で重大なミスが起こらないようリスクマネージメントについて検査部の全員
が心掛けておかなければならない。もちろん検査部で医療事故が起こった場合
を想定して、迅速な対応が出来るようなシステム(マニュアルも含む)を確立し
ておくことが重要である。

[編集委員 森 三樹雄]

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JACLaP WIRE No.29 2000年8月25日
■発行:日本臨床検査医会[情報・出版委員会]
■編集:JACLaP WIRE編集室■編集主幹:西堀眞弘
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