JACLaP WIRE No.8 1999.05.28 



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          JACLaP WIRE No.8 1999年5月28日
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============================≪ 目 次 ≫============================

[お知らせ]◆臨床検査関連企業便覧のホームページ掲載について

[ニュース]◆高齢化の急速な展開
      〈WHOトピックス Press Sep. 1998 WHO-102〉
[ニュース]◆髄膜炎の流行を防止するためにワクチンの供給が必要
      〈WHOトピックス Press Dec. 1998 WHO-103〉
[ニュース]◆飛行機に搭乗中の乗客の結核感染予防のWHOガイドライン
      〈WHOトピックス Press Dec. 1998 WHO-104〉
[ニュース]◆北半球の1999年〜2000年のインフルエンザワクチン
       ウイルス株をWHOが決定
      〈WHOトピックス Press Dec. 1998 WHO-105〉
[ニュース]◆初めての子宮頸癌のワクチン
      〈WHOトピックス Press Feb. 1999 WHO-106〉
[ニュース]◆気管支喘息
      〈WHOトピックス Press Dec. 1998 WHO-107〉
[ニュース]◆エルニーニョが健康に及ぼす影響
      〈WHOトピックス Fact Sheet Nov. 1998 WHO-108〉
[ニュース]◆コソボ難民に感染症流行の危険
      〈WHOトピックス Press Apr. 1999 WHO-109〉
[ニュース]◆WHOが幼児虐待を主要な健康問題と認識
      〈WHOトピックス Press Apr. 1999 WHO-110〉
[ニュース]◆アフリカ中央部でポリオの流行
      〈WHOトピックス Press Apr. 1998 WHO-111〉
[ニュース]◆第9回日本臨床検査医会春季大会
[ニュース]◆第1回デジタル医用画像の「色」シンポジウム
[ニュース]◆第7回GLM・WSは13名が参加し無事終了

[特別寄稿]◆感染症のピットフォール(連載第3回)

[新規収載]◆抗ガラクト−ス欠損IgG抗体

[Q&A] ◆肺癌検診に有用な腫瘍マーカー
[Q&A] ◆HIV検査結果の解釈
[Q&A] ◆単球の異常増加
[Q&A] ◆ATL患者以外に見られるATL様異形リンパ球
[Q&A] ◆尿ビリルビンの偽陽性
[Q&A] ◆PTとAPTTの同時算定
[Q&A] ◆脂肪球と脂肪顆粒の違い
[Q&A] ◆免疫不全の患者の尿沈渣に見られるウイルス感染細胞
[Q&A] ◆無晶性リン酸塩円柱の中に見られる無晶性リン酸塩結晶
[Q&A] ◆脂肪顆粒細胞、脂肪顆粒含有細胞および脂肪変性細胞の区別
[Q&A] ◆尿沈渣に見られる扁平上皮細胞に付着している細菌
[Q&A] ◆髄液細胞数の精度管理法
[Q&A] ◆遺伝子検査の今後
[Q&A] ◆交差適合試験における寒冷凝集反応への対処
[Q&A] ◆交差適合試験におけるブロメリン非特異反応への対処
[Q&A] ◆交差適合試験における自己抗体や不規則抗体への対処
[Q&A] ◆総ビリルビン値単独異常の原因と絶食の影響

[人事消息]◆高知医大の佐々木先生の後任は杉浦哲朗先生に

[編集後記]◆21世紀に目指すべきもの
 
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[お知らせ]◆臨床検査関連企業便覧のホームページ掲載について
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 臨床検査関連の企業の 会社概要や連絡先、ホームページやEメールのアドレ
ス、取扱製品などを50音順に一覧できるようホームページに掲載しました。
最新情報を集めましたので、是非ご活用下さい。

[副会長 森 三樹雄]
 
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[ニュース]◆高齢化の急速な展開
      〈WHOトピックス Press Sep. 1998 WHO-102〉
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 20世紀における世界の人口の特徴は、人口の老齢化現象である。現在、世界
には60歳以上の人が約5億8千万人おり、そのうち3億5千500万人が発展途上国に
いる。しかし、西暦2020年になると60歳以上の人は10億人以上となり、そのう
ち7億人以上が発展途上国にいる。

 過去50年間に発展途上国の死亡率は劇的に低下し、平均寿命は1950年代には
41歳、1990年には62歳、2020年には70歳になる。現在、発展途上国20か国のう
ち平均寿命が72歳以上になっているのは、コスタリカ77歳、キューバ76歳、ジ
ャマイカ75歳、アルゼンチンとスリランカ73歳、マレーシア・北朝鮮72歳であ
る。次の四半世紀にはヨーロッパが世界最高齢者地域となり、25%にもなる。
2020年の最高齢国は日本で31%で、次いでイタリーとギリシャ、スイス(28%以
上)の順になる。2020年には60歳以上の高齢者が占める割合は、北アメリカで2
3%、東アジアで17%、南米12%、東南アジア10%となる。2020年に80才以上の
超高齢者が多いのはギリシャ・イタリーで22%、日本・フランス、スペインで
21%、ドイツで20%となる。1990年と2025年の35年間における高齢者の人口増
加率はコロンビア、マレーシア、ケニアなどでは7〜8倍と急速に増加する。

[ホームページ/世界の保健医療ニュース]
 
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[ニュース]◆髄膜炎の流行を防止するためにワクチンの供給が必要
      〈WHOトピックス Press Dec. 1998 WHO-103〉
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 WHOによるとアフリカの髄膜炎感染地域に対して最低700万人分のワクチン
が必要である。現在供給できるワクチンは600万人分しかなく、100万人分が不
足している。1996年以来アフリカ西部のセネガルから南東部のモザンビークに
かけての国々で30万例が流行している。アフリカの髄膜炎は秋の終わりから春
にかけて季節的に発生し、2月に大量に発生する。現在はチャド、マリ、ニジェ
ール、ナイジェリアなどの国で猛威をふるい、この地域の住民2億8千万人が感
染の危険性にさらされている。1997年に流行性髄膜炎の感染予防ワクチンを配
布する国際団体が1997年に作られ、アフリカを中心に1400万人分のワクチンが
配布された。髄膜炎の防御対策は流行の早期発見、ワクチンと抗生物質の投与
により流行を防ぐことである。

[ホームページ/世界の保健医療ニュース]
 
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[ニュース]◆飛行機に搭乗中の乗客の結核感染予防のWHOガイドライン
      〈WHOトピックス Press Dec. 1998 WHO-104〉
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 世界中で年間14億人の飛行機による旅行者がいる。これらの人のために結核
感染防止のガイドラインがWHOから発表された。このガイドラインは結核な
どの感染疾患をもつ人と乗り合わせた搭乗客および乗務員を探し出し、その情
報を知らせることである。特に飛行機が地上で待機中の場合は空調がほとんど
働いておらず、また飛行時間が8時間以上長くなる場合は不十分な空調で機内の
感染性は高くなる。1992年から1996年の間に活動性結核患者7人が2600人の乗客
と乗務員に接触し、CDCより数人が結核に感染した旨の報告があった。この
例でも報告されなかった結核感染者の数は多いと思われる。このことがガイド
ラインの出されるきっかけになった。この他、飛行機会社が感染者のきちんと
記録し、空調のエアーフィルターも効率のよいものに取り替え、地上での待機
時間を少なくすることも重要である。

[ホームページ/世界の保健医療ニュース]
 
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[ニュース]◆北半球の1999年〜2000年のインフルエンザワクチン
       ウイルス株をWHOが決定
      〈WHOトピックス Press Dec. 1998 WHO-105〉
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 北半球の1999年〜2000年のインフルエンザワクチンウイルス株をWHOが決
定した。インフルエンザワクチン株は次のA/Sydney/5/97(H3N2)様ウイルス、A
/Beijing/262/95(H1N1)様ウイルスB/Beijing/184/93様ウイルス(またはB/Shan
gdong/7/97様ウイルス)の中から3種類のウイルスを選択する。インフルエンザ
Bウイルス成分は各地域における疫学的データに基づいて各国で決める。これ
らの3種類のウイルス株は1998年から1999年のインフルエンザ感染地域のワクチ
ンに広く利用されているインフルエンザA(H3N2)、インフルエンザA(H1N1)、イ
ンフルエンザBである。

 インフルエンザウイルスは常に変異するので、インフルエンザワクチンの使
用も世界中で増加している。WHOは毎年2月中旬に北半球の冬季終了後に不活
性化インフルエンザワクチンの成分をWHOは決定し発表している。南半球に
ついては9月に発表している。WHOではこの致死的なインフルエンザに対して
効果的な予防手段としてワクチンの使用を推奨している。流行しているインフ
ルエンザウイルスの菌株とワクチンの組み合わせがよい場合には、ワクチン接
種患者の50〜80%が病気にかからないか、かかっても軽症で済む。

 大多数の成人はこの3種類のインフルエンザウイルスに感染したことがあり、
ある程度の免疫力が残っているので、ワクチンの接種は1回でよい。小児に対し
ては4週間の間隔で2回接種がよい。

 今世紀に入ってから1918年、1957年、1968年にインフルエンザの大流行が起
こった。特に1918年〜1920年にかけてのスペイン風邪と呼ばれた大流行では、
少なくともインフルエンザで2000万人が死亡した。

[ホームページ/世界の保健医療ニュース]
 
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[ニュース]◆初めての子宮頸癌のワクチン
      〈WHOトピックス Press Feb. 1999 WHO-106〉
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 ヒトパピローマウイルス(HPV)感染に対する数種類のワクチンの開発が、
WHOの会議で報告された。これは遺伝子技術を初めて利用した子宮頸癌ワク
チンである。もしこれが成功した場合には、ヒトの癌に対する2番目のワクチン
になる(1番目は原発性肝細胞癌を防止するB型肝炎ウイルスワクチン)。子宮頸
癌は、女性では乳癌に次いで重要な癌である。毎年約50万人の新しい子宮頸癌
患者が出現し、死亡率は非常に高い。毎年30万人が死亡し、そのうち80%は発
展途上国の患者である。

 死亡頻度は先進国と発展途上国との間で大きな解離がみられる。死亡率は北
アメリカや西ヨーロッパでは3〜5%であるのに対し、ラテンアメリカ、南西ア
ジア、アフリカ諸国では20〜24%にもなる。子宮頸癌の原因は、ヒトパピロー
マウイルスによる性行為感染症である。患者は性行為活動の早い時期に感染す
るが、感染後20年以上たって癌になる。これらのワクチンは遺伝子技術を用い
たウイルス様粒子で、これはHPV構造蛋白の外壁を構成している。現在、数
種類のワクチンが作られており一部は予防ワクチンで、その他に治療ワクチン
もある。

[ホームページ/世界の保健医療ニュース]
 
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[ニュース]◆気管支喘息
      〈WHOトピックス Press Dec. 1998 WHO-107〉
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 全世界で1億〜1億5千万人の人が気管支喘息に罹患し、患者数は増えている。
毎年18万人が死亡している。スイスでは人口の約8%が気管支喘息に罹患してい
るが、25〜30年前はわずか2%に過ぎなかった。ドイツでは約400万人の喘息患
者がいる。西ヨーロッパでは10年間で喘息患者が2倍に増加した。アメリカでも
1980年代初期に比べ、喘息患者は60%増加し、死亡率も2倍の年間5千人になっ
た。日本でも約300万人の喘息患者がおり、その内7%が重症、30%が中等度喘
息である。オーストラリアでは16歳以下の喘息患者は6人に1人いる。インドで
は1500〜2000万人の喘息患者がいる。ブラジル、コスタリカ、パナマ、ペルー
、ウルグアイでは小児の喘息患者が20〜30%いる。喘息の最大の危険因子は小
児期に室内のアレルゲンに爆露すること、家族に喘息あるいはアレルギー患者
がいることなどである。その他、タバコの煙や工場の化学物質の爆露も危険因
子である。さらに、都市化も喘息を増加させている原因である。喘息は慢性疾
患であるので、継続的な治療が必要である。

[ホームページ/世界の保健医療ニュース]
 
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[ニュース]◆エルニーニョが健康に及ぼす影響
      〈WHOトピックス Fact Sheet Nov. 1998 WHO-108〉
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 エルニーニョは19世紀の初期から見られた現象で、3〜5年毎に赤道方面から
暖かい水がペルー沖流れ込み、海の温度が温暖化することにより異常気候が発
生する。エルニーニョの影響で、東南アジア、オーストラリアの一部、アフリ
カの一部では豪雨と洪水が起こった。インドでは夏の台風が弱まり、西カナダ
やアメリカ北部で冬の気候が温暖化した。干ばつは例年の2倍に増えた。1997〜
1998年のエルニーニョではインドネシアで干ばつと森林火災が起こり、この影
響でマレーシアでは呼吸器疾患が劇的に増加した。アマゾンでも同様の森林火
災が発生した。この他、エクアドルやペルーで大洪水が起こった。エルニーニ
ョの影響により、不衛生状態の持続と汚染された飲料水によりリフトバレー熱
、マラリア、コレラ、赤痢、デング熱などの感染症が増加した。

[ホームページ/世界の保健医療ニュース]
 
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[ニュース]◆コソボ難民に感染症流行の危険
      〈WHOトピックス Press Apr. 1999 WHO-109〉
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 コソボ難民に感染症流行の危険のあることがWHOより報告された。感染の危険
があるのは、麻疹とコレラのような水由来の伝染病である。WHOは来たる3か月
間、コソボ地区のアルバニア人難民に250万USドルを投入し、感染症の予防対策
を実施する。最初はコレラや他の水由来感染症、小児の急性呼吸器疾患や急性
胃腸炎に対し、ワクチン投与による予防から始める。難民には精神的なカウン
セリングも受けさせる。英国とイタリア政府から供与された25万USドルにも及
ぶ衛生、救急、外科、麻酔、結核、精神病などの薬が入った薬品箱も配給する
。WHOのDr. Brundtland事務局長は、バルカン半島に起こっている危機に対し、
WHOおよび国際連合が果たす役割の重要性を強調している。

[ホームページ/世界の保健医療ニュース]
 
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[ニュース]◆WHOが幼児虐待を主要な健康問題と認識
      〈WHOトピックス Press Apr. 1999 WHO-110〉
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 WHOは、0〜14歳の小児4000万人が幼児虐待を受け、健康と社会的ケアが必要
と報告した。19か国(南アフリカ、スウェーデン、ドミニカなど)での国際調査
によれば、幼児の性的虐待は女子で7_34%、男子で3~29%であった。米国の調
査報告では200万人の幼児虐待の対策に124億ドルかかる。虐待された幼児は肉
体的、情緒的、発育的見地から、健康的な生活を送ることも子供を産むことも
困難である。WHOでは、先進国と途上国の幼児虐待の問題点を全世界的な規模で
調査することになった。

 暴力、傷害予防、医療、社会科学、公衆衛生、精神病、心理学、法律などの
専門家24人が幼児虐待の対策を立てることになった。プログラムでは、生後か
ら両親が子供の扱い方の技術を学び、幼児虐待を減少させることにしている。
この専門家集団が実行しようとしていることは、次のようなことである。1.
世界規模で幼児虐待のデータを収集し、公衆衛生上の問題点とその費用を算出
する。2.幼児虐待を防止に成功した方法や技術を学ぶ。3.幼児虐待に関す
る防止の評価と研究を継続的に進める。4.幼児虐待を防ぐために各国でプロ
グラムの開発と犠牲者および家族のサポートを行なうなどである。

[ホームページ/世界の保健医療ニュース]
 
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[ニュース]◆アフリカ中央部でポリオの流行
      〈WHOトピックス Press Apr. 1998 WHO-111〉
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 WHOはアフリカ中央部の小児のあいだで流行していた四肢麻痺を調査し、
その原因がポリオであることを確認した。ほぼ全症例が5歳以下の小児で、大
部分は1〜2歳であった。患児の大部分はアンゴラの首都ルワンダにある人口
過密地域に住み、家族と共に隣国より逃れてきた難民であった。未確認情報に
よると患児の数はここ数日で206名にものぼっている。南アフリカの国立ウイル
ス研究所でアンゴラの麻痺患者を調べたところ、採取した糞便検体22例中11例
にポリオウイルス3型が分離された。麻痺患者の90%は、ワクチン非接種ある
いは部分接種しか受けていなかった。ポリオは感染性の強い疾患で、中枢神経
系を侵潤し数時間のうちに麻痺を起こす。WHOとユニセフはアンゴラ国の厚
生省と協力して70万人の小児にワクチンを接種し、ポリオの流行を撲滅しよう
としている。夏には300万人の小児に対して、ポリオワクチンの接種を計画して
いる。WHOでは2000年中に、ポリオを全世界から撲滅するために国際協力を
行なっている。西半球のポリオ最終症例は1991年にペルーにみられた。西大平
洋地域では1997年にカンボジアで見つかったのが最後である。ポリオ三大感染
地域と呼ばれているのは、南アジア(アフガニスタン、パキスタン、インド)、
西アフリカ(主にナイジェリア)、アフリカ中央部(主にコンゴ共和国、アンゴラ
)である。全世界の小児に対してワクチンを接種した結果、ここ10年間に90%の
減少を見た(1999年には3500例から500例に減少)。

[ホームページ/世界の保健医療ニュース]
 
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[ニュース]◆第9回日本臨床検査医会春季大会
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 第9回春季大会および第17回臨床検査情報学専門部会講演会が5月28日・
29日の両日慶應義塾大学において開催される。医療情報を記述する標準フォ
ーマットとして注目されているHL7の話題、EBMについての特別講演、医学のト
ピックス、各領域の第1人者の研究歴の披露に加え、論客による歯に絹を着せ
ないパネルディスカッションも予定されているので、大勢の方にご参加いただ
きたい。

【プログラム】
5月28日(金)
14:00 第17回臨床検査情報学専門部会講演会
    「HL7をめぐる諸問題」
    司会:菅野剛史・神辺眞之
    1)HL7の概説          木村通男
    2)NCCLS―自動化専門委員会での
      HL7採用の経緯        高坂 定
    3)検査システムへのHL7の適応性 片岡浩己

17:00 第9回日本臨床検査医会講演会
    司会:河野均也
     特別講演 「なぜ今evidence based medicineか?」 河合 忠

18:00 交流懇親会

5月29日(土)
 9:00 I.シンポジウム「医学に関わる最近のトピックス」
    司会:菅野剛史・安藤泰彦
    1.血液学  東田修二  4.微生物学 一山 智
    2.臨床化学 高木 康  5.病理学  勝山 努
    3.免疫学  吉田 浩

12:00 昼食 / 常任・全国幹事会

13:00 II.特別講演「私の手がけてきた研究」
    1.中原一彦(血液)   司会 松野一彦
    2.山口恵三(微生物)  司会 猪狩 淳
    3.高橋伯夫(臨床化学) 司会 五味邦英

15:00 III.パネルディスカッション
        「臨床検査医学の21世紀に目指すべきもの」
    司会:渡辺清明
    (パネリスト)玉井誠一・北村 聖・熊坂一成
           池田 斉・西堀眞弘・尾崎由基男

17:00 閉会

[大会長 渡辺清明]
 
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[ニュース]◆第1回デジタル医用画像の「色」シンポジウム
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 形態検査インターネットサーベイ研究班の共催により、標記のシンポジウム
が5月8日・9日の両日、東京医科歯科大学において開催された。医療のマル
チメディア化が各分野で急速に進行しているためか、主催者の予想を超える参
加者が集まり、各診療分野や色研究の第1人者によるパネルディスカッション
やセミナーに耳を傾けた。ディスカッションでは、現状では色再現性の不統一
によるさまざまな問題が潜在していること、製品の本格的普及が始まる前に標
準化を推進するため、何らかの組織を作る必要があることなどが活発に話し合
われた。

 実行委員会では、参加できなかった方のために抄録集を1部3千円で頒布し
ており、またカラー版の抄録集や当日の記録を掲載したCD-ROMを作成し、参加
者を含め全員に配付する予定である。なお、第2回は秋に開催される予定で、
詳細はホームページで告知されるとのことである。

事務局:
 〒113-8519 文京区湯島1-5-45
 東京医科歯科大学医学部附属病院検査部気付
 TEL: 03-5803-5628
 E-mail: [email protected]
 ホームページ: http://square.umin.ac.jp/medicolor/
 担当者 西堀 眞弘

[東京医科歯科大学 西堀眞弘]
 
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[ニュース]◆第7回GLM・WSは13名が参加し無事終了
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 第7回GLM・WS ’99は無事に終了し、以下の方々が修了証書を受けられまし
た。

 家入蒼生夫様  獨協医科大学臨床病理学講座
 勝山 努 様  信州大学医学部臨床検査医学
 岸川正大 様  愛知県コロニー発達障害研究所形態学部門・
          附属病院検査部
 木村雅友 様  国立南和歌山病院研究検査科
 小出典男 様  岡山大学医学部臨床検査医学
 清水道生 様  北海道大学医学部附属病院病理部
 立山義朗 様  広島市立安佐市民病院臨床検査部
 辻 直子 様  祐生会みどりヶ丘病院臨床検査科
 富永真琴 様  山形大学医学部臨床検査医学
 中村栄男 様  愛知県がんセンター臨床検査部
 濱崎直孝 様  九州大学医学部臨床検査医学教室
 原田  大 様  飯田市立病院臨床病理科
 藤原睦憲 様  日本赤十字社医療センター検査部
 安波礼子 様  大阪府立病院臨床検査科
 渡邊  卓 様  杏林大学医学部臨床病理学

第7回WSまでのGLM・WS参加施設
(  )はWS参加者の当時の所属施設で参加者がその後、移籍等で現在は不
在の施設

国立、公立大学および短期大学(26校)
 北海道大学、秋田大学、東北大学、福島県立医大、信州大学、群馬大学、防
衛医科大学校、東京大学、東京医科歯科大学、横浜市大、千葉大学、筑波大
学、神奈川県立衛生短期大学、(浜松医大)、名古屋大学、京都大学、京都府
立医科大学、広島大学、広島県立福祉短期大学、山口大学、鳥取大学、島根医
科大学、高知医科大学、(徳島大学)、鹿児島大学、岡山大学、山形大学、九
州大学

私立大学(18校)
 獨協医科大学、自治医科大学、埼玉医科大学、日本大学、順天堂大学、慈恵
医大、昭和大学、杏林大学、北里大学、日本医科大学、東邦大学、東京医科大
学、帝京大学、東海大学、近畿大学、関西医科大学、大阪医科大学、川崎医大

その他の参加施設(22施設)
 私立東葛病院、国立健康栄養研究所、(財) 東京都保険医療公社 東部地域
病院、天理よろづ相談所病院、市立四日市病院、川田クリニック、香川県立中
央病院、株式会社シ−・ア−ル・シ−、日本医学臨床検査研究所、青森労災病
院、山口県立中央病院、国立がんセンター中央病院、佐久総合病院、国立弘前
病院、京都第一赤十字病院、東京都神経科学総合研究所、甲府共立病院、関東
逓信病院、愛知県コロニー発達障害研究所 、国立南和歌山病院、広島市立安佐
市民病院、祐生会みどりヶ丘病院、愛知県がんセンター、飯田市立病院、日本
赤十字社医療センター、大阪府立病院

GLM・WS未参加校(医学部ないしは医科大学)
 国立、公立大学(25校)
 私立大学(11校)

[日本大学臨床病理 熊坂一成(チーフプランナー)]
 
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[特別寄稿]◆感染症のピットフォール(連載第3回)
                  佐賀医科大学検査部 田島 裕
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5.「栄養管理」の落とし穴とは何か?

  ここで「栄養管理の落とし穴」を取り上げた理由は、「個体の基礎体力/抵
抗力」を抜きに「感染症」を論ずることはできないからであり、これらに最も
深く関わっている要因を1つ挙げるとしたら、それは「栄養」である。食物を
自力で経口摂取できる患者であれば、問題は比較的少ないとは思うが、栄養面
で「放ったらかし」にされた患者の中には、徐々に衰弱が始まるケースが少な
くない(注3)。そのような患者は、しばしば「巨大な培地」と化してしまい
、死亡するまでの間に、ありとあらゆる感染症を併発する可能性が高い。

・まず、「経管栄養」の患者について注意を喚起したい。最近では、専用の流
動食を院内で調理せずに、「出来合いのパックもの(=レトルト食品)」を投
与するケースが非常に多くなってきた。

・ところがよく調べてみると、こうした市販の「パックもの」には、健常成人
の所要量に基づいて成分を設定してあるものが多く、例えば、1日 2000 _`カ
ロリーを摂取して初めて、必要を満たせる計算になっているのである。従って
、患者の状態に合わせてカロリーを落とすと(例;糖尿病、「寝たきり」)、
特に蛋白質の摂取量を十分に維持できなくなってしまう。

・蛋白質の1日必要量は、体重 1kg 当たりで 1.1〜1.2g ほどが基準であるの
で、体重 60kg の患者では 72g となるが(注4)、製品によっては、これが
50g 以下しか供給できないことがある。また、「1.2g/kg」という値は、健常人
での理論値に種々の安全係数を加味して得られたものであり、「現状を維持す
るための値」であるに過ぎない。即ち、何らかの疾患に罹患していて消耗状態
にある患者の代謝状態については、(この値を上回ることは間違いないが)殆
どデーターがないのである(注5)。

・同様に、「プロテインスコアが 100%である(=人体での利用率が高い)」
と書いてあっても、これの意味する所は「健常成人での維持値」である。即ち
、異化の亢進を食い止めたい場合や、傷ついた肉体を立て直すための同化作用
に適した摂取タンパクのアミノ酸組成は、(単なる「成人での維持値」と異な
ることは明らかなのであるが)殆ど知られていないのである(注6)。

・従って、本来ならば、不足分を新たに添加して成分を再調整しなければなら
ないのであるが、「パックもの」を使用している場合には、「これだけで十分
」との錯覚に陥ってしまい、成分添加を行う医師など殆どいない。製品によっ
ては、電解質の必要量ですら満たしていないものがあるにも拘らず(注7)、
これに気付かぬ人が何と多いことか。これは、医学部のカリキュラムでは、卒
前卒後を通して「栄養生化学」の教育が貧弱であるためであり、殆ど「栄養士
任せ」になっているための弊害である(注8)。

・これは蛇足であるが、咽頭反射の残っている患者にマーゲンゾンデを長期間
留置することは「拷問」に等しい。実は、筆者は開腹手術を受けた経験があり
、手術創の痛みは1日経てばなんとか自制できるようになるものの、「マーゲ
ンゾンデ」の存在には大いに泣かされた [4]。米国では、経口摂取が困難にな
った患者にはすぐに「胃瘻」を造設するようであるが、日本でも同様の「配慮
」を切に希望する。


注3:摂取蛋白の不足分は、体蛋白をとり崩して消費することになる。もし、
貧血や末梢血のリンパ球数(絶対数)の低下がみられた場合には、衰弱が始ま
っていると考えてよい(=栄養管理にどこか誤りがある) [11]。以前には、栄
養管理の問題が表面化することは少なかったが(=それゆえ、現在でも過小評
価され続けている)、その理由は、このように摂食が不良になった患者は、(
暫くして回復するのでなければ)短期間の内に死(餓死)を余儀なくされてい
たためである(=その昔には、IVHなどは無かったのである)。

注4:蛋白補給の目的で(特に低アルブミン血症の場合)、血清アルブミンや
新鮮凍結血漿を投与している人をよく見掛けるが、仮に全血液のアルブミンを
全て補ったとしても、(アルブミンの半減期は 10日であるから)蛋白の1日所
要量の 1/10 も摂らせることができない。従って、これらをいくら与えても栄
養学的には全く無意味であり、アルブミン投与の適応は、「血清浸透圧の維持
」のみに限るべきである。

注5:不可避な異化作用のために、どうしても失われてしまう蛋白は1日当た
り(体重1kgあたり)0.25g/kg であるが [9]、体温が1℃上昇するごとに、
この値は倍増すると言う説がある。従って、体温が 40℃にもなると、その日に
摂取した(通常量の)蛋白は、殆ど異化されてしまうことになる。患者が発熱
していなくとも、健常人での体温にして 40℃相当の炎症を抱えている場合には
(例;褥瘡)、結論は同様であろう。蛋白異化の度合いを推定するには、1日
当たりの尿素窒素の総排泄量を調べるとよい(但し、「尿素窒素」は、蛋白の
重量を直接表しているのではなく、尿素分子の中の「窒素のみの重量」である
ことに注意)。1日当たりの体蛋白の崩壊量が 100g を越える場合も、決して
少なくはない(蛋白質1g当たりの平均窒素含有率は約16%であるので、尿素
窒素1gに対して蛋白6.3gが等価である)。

注6:1例を挙げると、成長期の子供や妊婦では、生育に至適なアミノ酸の(
体重あたりの)必要量と構成比が、成人のものとは大きく異なる(数倍〜十倍
は異なる) [10]。従って、「単なる成人の維持量」では、活発な同化作用を営
むには不利である。但し、同化作用と異化作用は、全く独立して制御されてい
るために、仮にこれらの諸因子を最適な状態に保っても、同化作用が無条件で
促進されるという保証はない。しかし、摂取したアミノ酸の構成比が至適でな
ければ、異化作用には、さらに拍車がかかってしまう。

注7:製造メーカーは、「後で、成分を患者に合わせて再調整し易くするため
に、故意に低く抑えてある」であると言うが、それにしては、「臨床家向けの
アナウンス」が不足している。市販の製剤では、カロリーを適当に制限しなが
ら、蛋白を十分量補うことは困難である。仮に、鶏卵の白身を添加するとして
も、1個(総重量は20g)当たり僅か2gしか蛋白が含まれていない。

注8:経管栄養に「レトルト食品」を使用する場合、きちんと「成分調整」を
行っている医師が何人いるか、ということが、その病院の「知的水準の高さ」
を表すと言ってよいだろう。

【参考文献】

[4] 田島 裕:低カリウム血症の軽考と大錯. 臨床診断のピットフォール (只
野 壽太郎・松井 征男 編), 医歯薬出版, 東京, pp.187-192, 1998

[9] 光岡知足:腸内細菌叢の分類と生態. 中央公論事業出版, 東京, 1986

[10] 新編 食品成分表(科学技術庁資源調査会 編). 一橋出版, 東京, pp.21
8, 245-246, 1995

[11] ワラック 検査値ハンドブック(原書 第6版, 日本語版 第1版, 福井 次
矢 監訳), 医歯薬出版, 東京, pp.567-578, 1997

(編集部より:この記事に関するご意見は電子メールでアドレス
 [email protected] までお寄せ下さい。必ず著者にお届けします。)
 
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[新規収載]◆抗ガラクト−ス欠損IgG抗体
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平成11年2月1日より適用の自己抗体検査
保険点数:55点
製品名:クリニサ−チCA・RF
製造元 :森永乳業(株) TEL 03-5704-3375
総発売元:エ−ザイ(株) TEL 03-3811-2710
販売元 :三光純薬(株) TEL 03-3851-1672
測定法:レクチン免疫フィルタ−法(定性検査)
50テスト/キット(50測定) シングル測定
結果が出るまでの時間:3分間  自動化:不可
検体:血清
【特徴】  血清中のガラクト−ス欠損IgGに対する抗体(抗ガラクト−ス欠損I
gG抗体)をメンブレンに固定化したガラクト−ス欠損IgG(抗原)と結合させる。
その後、結合した抗体の糖鎖にあるガラクト−スにレクチン(RCA120)感作ラテ
ックスを結合させ、ラテックスに由来する赤色の着色(スポット)をメンブレン
上に形成させ、これを肉眼で判定する。
 RA(慢性関節リウマチ)患者の血清中にRF(リウマチ因子)が高頻度に出現
することが知られている。本キットはガラクトース欠損IgGに対するリウマ
チ因子類似の自己抗体を検出するものである。RA患者の血清中IgG糖鎖は
、健常者IgG糖鎖と比較し、ガラクトースを顕著に欠損し、糖鎖異常を起こ
している。RA発症初期からガラクトース欠損IgGが産生され、これに対す
る自己抗体が関節炎などの発症に関与していると考えられている。本キットは
、糖鎖工学的にガラクトース欠損IgG抗原として血清中の抗カラクトース欠
損IgG抗体をレクチン免疫フィルター法により肉眼的に検出するものである
。
 RA患者において、本キット、LN(比ろう)法によるRF、TIA(免疫比濁
)法によるRFの有病正診率、無病正診率はそれぞれ78.4/75.1%、72.5/76.
6%、67.5/69.6%となり、本法が有病正診率でやや優れていた。しかし早期R
A患者で、本法とLN法における有病正診率を比較すると85.5%と69.4%と本
法が優れていた(P<0.01)。またLN法とTIA法によりRFがSeronegative
 RA患者を本キットで測定したところ、それぞれ30.4%(17/56例)と46.7%(
28/60例)が陽性であった。
【保険請求上の注意】 抗ガラクトース欠損IgG抗体と「3」のリウマチ因子測定
を併せて測定した場合には、主たるもののみ算定する。
【文献】 秋元智博、他:抗ガラクト−ス欠損IgG抗体糖鎖検出キット(P-155)
の臨床的有用性に関する研究.臨牀と研究、74:722-726、1997

[獨協医大越谷病院 森三樹雄]
 
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[Q&A] ◆肺癌検診に有用な腫瘍マーカー
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(Q)肺癌検診に有用な腫瘍マーカーや適切なcut off値について教えてくださ
い。

(A)結論から言うと、肺癌検診の検査として適切な腫瘍マーカーは今のところ
見つかっておらず、らせんCTなどの画像診断が最も有力な方法と考えられてい
ます。相対的には、新しい検査であるサイトケラチン19フラグメント精密測定
(シフラ、非小細胞癌)やガストリン放出ペプチド前駆体(ProGRP、小細胞癌
)は以前のものと比較し陽性率がよいといわれていますが、早期癌のスクリー
ニングに有効というデータはありません。

 またcut off値の設定には、ある値を設定したときの真陽性率と偽陽性率とと
もに、受診者の有病率を知る必要があります。例えば発見したい疾患の有病率
を0.1%とし、あるcut off値における真陽性率が50%、偽陽性率が2%であった
とき、10000人の受診者のうち真陽性者は10000×0.1%×50%=5人、偽陽性者
は10000×99.9%×2%=200人となり、陽性者205人のうち疾患を有している人
は2.4%しかおらず、かつ有病者の半数を見落とすことになります。cut off値
を高くすれば真陽性率は改善しますが、同時に偽陽性率も高くなるため、ます
ます陽性者に占める真陽性者の割合は低くなってしまいます。

 実際には偽陽性率は分からないことが多く、また真陽性率はこの例よりも低
いと考えられますので、cut off値をどのように設定しても、補助診断として価
値があるかどうかについては、判断が分かれるところです。また検診後の精密
検査は通常保険診療で行われますが、最近そのコストの増大が健保組合の収支
悪化の一因としてクローズアップされつつありますので、費用対効果比への配
慮も必要と思われます。

回答日:1999年2月24日
回答者:認定臨床検査医 西堀眞弘(No.269)

[ホームページ/臨床検査Q&A;(免疫学的検査・生化学検査・その他 )]
 
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[Q&A] ◆HIV検査結果の解釈
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(Q)HIV抗体検査の結果がPA法128倍陽性、ウエスタンブロット法でp24のみ陽
性となり、HIV抗原は陰性でした。どう解釈したらよいでしょうか。(長野県
臨床検査技師)

(A)結論から言いますと、「陰性」つまり非特異反応による偽陽性と考えられ
ます。その理由は、
(1)PA値が2週間動いていない(感染初期であれば上昇傾向を示し、またそ
の後であれば通常1万倍以上の高値を示すはずである)。
(2)HIV抗原陰性(抗原検査はHIV1、HIV2の両者を検出できる)。
(3)ウエタンブロット法でHIV2 p24のみ陽性は、判定基準によれば陽性根拠
とはならない(しかもHIV2患者は本邦では現在までに海外からの渡航者1例の
みである)。

(参考)ウエタンブロット法の判定基準
施設名          陽性の判定基準
―――――――――――――――――――――――――――
CDC(米国) p24, gp41, gp120/gp160のうちの2本以上
FDA(米国) p24とp31に加えてgp41またはgp120/gp160
WHO     gp41, gp120, gp160のうちの2本以上

 使用キットや施設によって判定基準は異なりますが、判定保留となるのは、
殆どの場合HIV感染のない非特異反応とされます。特にgp24、p55などの単独バ
ンドは、抗ゼラチン抗体などによる非特異反応の場合が見られます。ただし感
染初期や、セロコンバージョンの初期あるいは末期にも見られることがあるの
で、注意が必要です。判定保留の場合は、1か月ほど時間を空けて再検査を行
います。ウエスタンブロットの特異的バンドが増えたり、各バンドが濃くなれ
ば感染初期と考えます。一方バンドのパターンに変化がなく、かつ該当する期
間内にハイリスクな行為がないことを確認できれば、陰性と判定します。

 自己免疫疾患患者、頻回受血者、妊婦または経産婦などの検体、あるいは長
期保存、凍結融解の反復または凍結乾燥を行った検体では、抗HIV抗体が偽陽性
を示すことがあります。また15か月未満の小児では、感染者でなくても、母親
から移行した抗HIV抗体により陽性を示すことがあります。

 ご質問の症例では、スクリーニング検査のPA法で128倍と比較的低い値ですの
で、まず抗p24抗体による吸収試験で非特異反応かどうかを確認してください。
あるいは、EIA法によるスクリーニング検査で抗体陰性を確認してもよいと考え
られます。

 なお、どんなに感度の良い検査でも、感染から抗体陽性になるまでの、いわ
ゆるwindow periodがゼロになることはないので、今回非特異反応と判定された
としても、必ず時間をおいて再検査し経過を追う必要があります。

回答日:1999年3月3日
回答者:認定臨床検査医 中村良子(No.241)

[ホームページ/(免疫学的検査/血清検査/輸血検査)]
 
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[Q&A] ◆単球の異常増加
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(Q)72歳の男性で血液像に単球が25%〜45%見られ、貧血以外特に所見がなく
、骨髄は有核細胞数が30万でした。何を考えたらよいでしょうか。

(A)末梢血における単球の増加には、大きく分けて反応性の増加と腫瘍性の増
加があります。

 反応性の単球増加では、感染症で結核、ブルセラ症、亜急性心内膜炎、腸チ
フス、水痘、麻疹、原虫感染症であるマラリア、カラアザールなどが知られて
います。また、骨髄抑制からの回復期(化学療法後)などでも一過性に単球増
加が見られることがあります。その他、SLEなどの膠原病や、潰瘍性大腸炎、サ
ルコイドーシスなど種々の疾患で単球の増加を来すことがあります。

 腫瘍性増加では、急性骨髄単球性白血病(FAB分類でのM4)および急性単球性
白血病(FAB分類でのM5b)で形態に異常のある単球の増加が特徴です。また、
慢性骨髄単球性白血病(FAB分類でMDSの一分類であるCMML)では末梢血で1x10
6/l以上(1000/μl以上)の単球増加が診断
基準の一つになります。したがって1000/μl以上の単球増加が認められたとき
にはCMMLも考慮する必要があります。

 反応性の増加との診断は除外診断となりますので、上記にあげた種々の疾患
を除外する必要があります。ただし、単球増加の原因は特定できないことも少
なくなく、そのような場合には定期的な血液一般検査と血液像検査により、血
液系の悪性疾患が顕在化してこないかどうかを経過観察する必要があります。

 本症例では、骨髄像検査も実施されていますので、芽球の増加や、巨核球、
赤芽球系、顆粒球系にも形態変化がなく、単球の増加もないとすれば、急性骨
髄単球性白血病(FAB分類でのM4)あるいは急性単球性白血病(FAB分類でのM5
b)は否定できると思います。しかし、高齢で貧血が認められること、年齢的に
見て骨髄は過形成と思われることから、MDS(特にCMML)を疑うような血液一般
検査所見(大球性貧血、汎血球減少症など)や血液形態の変化があるかどうか
を確認して、注意深く経過を追う必要があると考えます。

回答日:1999年3月16日
回答者:認定臨床検査医 土屋達行(No.244)

[ホームページ/臨床検査Q&A;(血液検査)]
 
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[Q&A] ◆ATL患者以外に見られるATL様異形リンパ球
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(Q)末梢血液像においてATL様の異形リンパ球がみられましたが、HTLV
−I抗体は陰性でした。標本作製時に変形した可能性はあるでしょうか。(大
阪府 臨床検査技師)

(A)ATL様の異型リンパ球、すなわちクローバー様の核の変形を示す細胞が認
められた場合、リンパ球のうち非常に多くの細胞がこのような形態を示す場合
はATLを疑う必要があります。また、悪性リンパ腫が白血病化したときに、腫瘍
細胞が核の変形したリンパ球として、末梢血中に認められることもあります。

 一方、抗凝固剤と血液を混和して放置すると、疾患の有無とは関係なくこの
ような核の変形を示すことが知られています。通常、血液一般検査に用いる抗
凝固剤はEDTA塩ですが、EDTA塩と混和して放置したのちに塗抹標本を作製する
とリンパ球の核はこのような変形を示すことがあります。私が行った実験では
、供血者によって、このような核の変形を示すまでの時間が異なり、短い人で
は採血後1時間くらいで変形を示す人もいます。逆に長時間、EDTA塩を加えて
保存(1日以上)してもリンパ球の核に変形を来さない人もいます。従って、E
DTA塩を抗凝固剤として混和した血液中で核の変形を示す理由は、単にEDTA塩と
接触していた時間だけで起こる現象ではないようですが、その本当の理由は判
明していません。その他のクエン酸などの抗凝固剤でも同様な変化がおこりま
す。

 治療用薬剤でリンパ球の核が変形することはほとんどありません。

 本来のリンパ球が核の変形を示していたのか、採血後に起こった変化かを鑑
別するためには、抗凝固剤を加えないで血液塗抹標本を作製して観察する必要
があります。抗凝固剤を加えない標本でリンパ球の核の変形が認められないと
きは、骨髄穿刺を行う必要はありません。しかし、このようにして作製した標
本でも核の変形を示すリンパ球が多数認められるときには、悪性リンパ腫など
の白血病化、あるいは骨髄浸潤を検索するための骨髄像検査を行う必要があり
ます。

回答日:1999年3月16日
回答者:認定臨床検査医 土屋達行(No.244)

[ホームページ/臨床検査Q&A;(血液検査)]
 
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[Q&A] ◆尿ビリルビンの偽陽性
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(Q)解熱剤を飲んだ患者さんで、血清ビリルビンが正常なのに、尿ビリルビン
が陽性となりました。薬剤の影響と考えてよいでしょうか。(大阪府 臨床検
査技師)

(A)尿ビリルビンの検査は、ジアゾ反応を利用した方法と酸化反応を利用した
方法があります。日常の検査では前者の方法による試験紙法が広く用いられて
います。このジアゾ反応は特異性が高く、反応に直接干渉する薬剤は少ないの
ですが、一般に酸性下でピリン系、サリチル酸製剤は青色、フェノチアジン系
薬剤は赤〜赤紫色に発色するため、判定を誤らせる原因となります。また、ア
スコルビン酸、亜硝酸塩は反応を阻害し偽陰性の原因となります。なお、ビリ
ルビンは光によりビリベルジンに変わりますが、ビリベルジンはジアゾ化され
ないためジアゾ反応では陰性となります。したがって、検査は新鮮尿で実施す
ることはいうまでもありません。

 尿中にビリルビンが認められるのは、直接ビリルビンの血中濃度が増加した
場合に限ります。種々の病態により肝・胆道系が障害を受け、血中のビリルビン
が増加すると尿中へ排泄され、尿中ビリルビンが陽性となります。ご質問では
、血中ビリルビンは正常であり、また、患者は薬剤を服用しいることから、薬
剤またはその代謝産物による異常発色または異常反応の可能性が高いと思われ
ます。患者さんは解熱剤を飲んだということですが、解熱鎮痛消炎剤には、ピ
リン系やサリチル酸製剤があり、これらの影響が考えられます。

回答日:1999年3月16日
回答者:認定臨床検査医  伊藤 機一(No.60)
             布施川 久恵(No.366)
 東海大学医学部付属病院
  中央臨床検査センター 野崎 司

[ホームページ/臨床検査Q&A;(一般検査)]
 
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[Q&A] ◆PTとAPTTの同時算定
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(Q)トロンボテストとプロトロンビン時間を同時測定した場合、いずれか1項
目しか算定できないと聞きましたが、なぜでしょうか。(臨床検査技師)

(A)一般に、保険適応の可否は各支払い基金の判定基準によりますので、都道
府県によって異なる可能性があり、一概には言えません。また、実際には査定
する医師の見解により異なる場合もあるので、レセプトを出してみないと削除
されるかどうかはわかりません。

 ただし、保険診療報酬における検査の包括化の中で、検査の臨床的意義が類
似する複数項目(2〜5項目)を実施した場合については、厚生省により具体
的な検査項目を指定して種々の制限がつけられるようになりました。お問い合
わせの項目の組合せも、この制限により1項目しか算定できないことになって
います。

 なお、制限の具体的内容は、日本臨床検査医会ホームページに「包括項目一
覧表」として掲載されていますので、ご参照ください。

 日本臨床検査医会ホームページのアドレス:

回答日:1999年3月21日
回答者:認定臨床検査医 西堀眞弘(No.269)

[ホームページ/臨床検査Q&A;(血液検査・診療報酬)]
 
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[Q&A] ◆脂肪球と脂肪顆粒の違い
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(Q)一般検査における脂肪球と脂肪顆粒の違いについて教えて下さい。(島根
県 臨床検査技師)

(A)脂肪球とは、大小不同の球状で光屈折がみられる油滴状の成分です。この
なかで臨床的意義が高いものは、ネフローゼ症候群などでみられる尿細管上皮
細胞由来の脂肪球です。そのほか扁平上皮細胞由来の脂肪球(扁平上皮細胞が
脂肪変性を起こしていると細胞質より放出された脂肪球を認める場合がありま
す)や、性器などに塗ったクリームや塗り薬が尿中に混入する場合もあります
が、これらの場合は臨床的意義に欠けます。また、尿沈渣標準法でいう脂肪顆
粒という表現は、おもに脂肪顆粒を含有する上皮細胞を指し、脂肪球とは異な
ります。

 ちなみに、ネフローゼ症候群などでみられる卵円形脂肪体や脂肪球の生成機
序は、糸球体での血漿蛋白の透過性亢進によりアルブミンが通過する際、リポ
蛋白も濾過され一部は尿細管で再吸収されます。再吸収されたリポ蛋白は尿細
管上皮細胞中で代謝され、コレステロールやコレステロール・エステルが生成さ
れ脂肪球として細胞に沈着します。これが細胞から放出され脂肪球となり、こ
の細胞が脱落したものが卵円形脂肪体となります。

回答日:1999年4月5日
回答者:認定臨床検査医  伊藤 機一(No.60)
             布施川 久恵(No.366)
 東海大学医学部付属病院
  中央臨床検査センター 野崎 司

[ホームページ/臨床検査Q&A;(一般検査)]
 
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[Q&A] ◆免疫不全の患者の尿沈渣に見られるウイルス感染細胞
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(Q)尿沈渣に見られるウイルス感染細胞は、免疫不全の患者にも認められます
が、区別は可能でしょうか。(島根県 臨床検査技師)

(A)ご質問のウイルス感染細胞とは、ポリオーマウイルス感染を示唆する細胞
を指していると思います(尿沈渣検査では、ウイルスの同定を行っていません
ので、ウイルス感染細胞とは言い切れません)。この細胞は、膨化した核と変
性の著しい細胞質が特徴で、移行上皮細胞や尿細管上皮細胞由来のものがあり
ます。化学療法、放射線治療、ステロイド療法などを受けている患者にも認め
られ、ウイルス感染を示唆する考えられています。また、残念ながら出現機序
はよく分かっていませんが、一般に免疫力が低下している場合に認めることが
多いとされます。

 なお、異型細胞という用語もありますが、明らかに良性である場合には、多
用すべきでないと思います。「異型細胞=癌細胞」と認識している医師が大部
分ですので、混乱を招く恐れがあります。

回答日:1999年4月5日
回答者:認定臨床検査医  伊藤 機一(No.60)
             布施川 久恵(No.366)
 東海大学医学部付属病院
  中央臨床検査センター 野崎 司

[ホームページ/臨床検査Q&A;(一般検査)]
 
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[Q&A] ◆無晶性リン酸塩円柱の中に見られる無晶性リン酸塩結晶
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(Q)無晶性リン酸塩円柱の中に無晶性リン酸塩結晶が見られる場合の意義は何
でしょうか。(島根県 臨床検査技師)

(A)リン酸塩や尿酸塩が円柱の外にも見られる場合は、尿排出後にpHや温度、
塩類濃度などによって析出したものと考えられます。しかし、円柱内にのみ見
られる場合は、円柱が生成された尿細管腔での析出が考えられます。尿細管腔
で塩類や結晶が析出すると、尿細管腔を閉塞し、腎不全ときには結石症を引き
起こす原因となるので、これらは大切な所見です。特に、高尿酸血症の合併症
として見られる、尿酸結晶の腎への沈着による腎不全は重要です。

回答日:1999年4月5日
回答者:認定臨床検査医  伊藤 機一(No.60)
             布施川 久恵(No.366)
 東海大学医学部付属病院
  中央臨床検査センター 野崎 司

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[Q&A] ◆脂肪顆粒細胞、脂肪顆粒含有細胞および脂肪変性細胞の区別
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(Q)尿沈渣に見られる脂肪顆粒細胞と、脂肪顆粒を含有している子宮内膜細胞
や前立腺由来細胞は区別が可能でしょうか。また白血球の脂肪変性にはどんな
意義があるのでしょうか。(島根県 臨床検査技師)

(A)一般に脂肪顆粒細胞とは、子宮内膜細胞や前立腺由来細胞(どちらも組織
由来は円柱上皮)に限らず、移行上皮細胞や扁平上皮細胞、尿細管上皮細胞な
ど由来に関わらず、脂肪成分を含有している細胞を意味します。

 このなかで、脂肪顆粒細胞との鑑別が必要なものは、尿細管上皮細胞由来の
卵円形脂肪体です。卵円形脂肪体はネフローゼ症候群など、持続性蛋白尿を認
める疾患などで認められ、重要な尿沈渣所見の一つに挙げられます。したがっ
て、脂肪成分を含有している細胞のなかで、卵円形脂肪体以外のものは脂肪顆
粒細胞として問題ないと思います。ただし、由来がわかるようであれば、その
組織由来の判定結果(尿細管上皮細胞、移行上皮細胞など)を報告したほうが
臨床的に有用です。

 白血球の脂肪変性は、残念ながら真の意義は分かっていませんが、おそらく
細菌等を貪食し役割を終えて死亡した後の変化と思われます。

回答日:1999年4月5日
回答者:認定臨床検査医  伊藤 機一(No.60)
             布施川 久恵(No.366)
 東海大学医学部付属病院
  中央臨床検査センター 野崎 司

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[Q&A] ◆尿沈渣に見られる扁平上皮細胞に付着している細菌
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(Q)尿沈渣に見られる扁平上皮細胞に付着している細菌について教えて下さい
。(島根県 臨床検査技師)

(A)ご質問の細菌は、大部分がDoderlein桿菌で、扁平上皮細胞に寄生してい
ると考えられます。女性の尿中に認められることが多く、これは扁平上皮細胞
中のグリコーゲンを栄養源にして、常に膣内のpHを酸性に保ち、細菌感染によ
る炎症を防いでいます。ちなみに、トリコモナス原虫が寄生すると、扁平上皮
細胞中のグリコーゲンを横取することにより、膣内のpHが酸性からアルカリ性
に傾き、他の細菌の増殖による炎症を引き起こす原因となります。

回答日:1999年4月5日
回答者:認定臨床検査医  伊藤 機一(No.60)
             布施川 久恵(No.366)
 東海大学医学部付属病院
  中央臨床検査センター 野崎 司

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[Q&A] ◆髄液細胞数の精度管理法
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(Q)髄液細胞数の精度管理を行うのに、当直業務にも適用できるいい方法はな
いでしょうか。(大阪府 臨床検査技師)

(A)髄液の細胞の多核と単核の分類の精度管理については、形態検査の精度管
理として「眼合わせ検査」を実施されてはいかがでしょうか。方法は患者検体
を用い、日常業務の合間などに同じ検体を担当者全員で検査し、技師間差の有
無を把握します。とくに当直業務担当者は必須で、定期的に繰り返して行うこ
とにより一層の効果が期待できます。とくに形態検査は技師間差が大きく、精
度管理が必要であるにもかかわらずほとんど実施されていないのが現状です。
最近では信頼性の保証されていない検査は臨床検査ではないといわれ、精度管
理を日常業務の一環として考え、積極的に取り入れていくべきであると思いま
す。

 また、当直時に細胞数が多い検体については、リコールを遠心後、沈査成分
をスライド硝子に塗抹(引きガラス法により塗抹)し、保存してはいかがでし
ょうか。

 その他の手段として、髄液の細胞は保存経過時間とともに崩壊しますが、す
べてがそうとは限りませんので、日勤者が朝出勤した時点で、当直分の確認を
されるのもひとつの手段と思います。

回答日:1999年4月26日
回答者:認定臨床検査医  伊藤 機一(No.60)
             布施川 久恵(No.366)
 東海大学医学部付属病院
  中央臨床検査センター 野崎 司

[ホームページ/臨床検査Q&A;(一般検査)]
 
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[Q&A] ◆遺伝子検査の今後
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(Q)臨床検査技師志望ですが、遺伝子検査の今後の見通しと、遺伝子関連の大
学院について教えて下さい。(大学生)

(A)1)病院の遺伝子検査の今後の展開
 分子生物学の進歩と解析技術の開発により可能となった遺伝子検査は、今日
、日常検査として定着し、従来検査にない新たな検査情報として、様々な形で
診療に貢献しています。さらに、ヒトのゲノムを解析するプロジェクトの成果
は、予想をはるかに上回り、2003年には完了します。その結果、30億個の全塩
基配列と染色体上の10万個のヒト遺伝子の構造とが明かととなります。遺伝子
検査は、感染症、悪性腫瘍、遺伝性疾患(成人病を含む)の診断、治療から予
防まで有益な情報を提供でき、診療効率向上、診療の質の向上、計画的医療に
遺伝子検査が果たす役割は多大です。これら疾患の原因遺伝子の変異の検出を
容易にする遺伝子チップ技術など解析技術の進歩にも目覚ましいものがありま
す。今後、診療における遺伝子検査の重要性は、ますます高まると考えられま
す。

 近年、病院内で遺伝子検査が行なわれるようになった背景には、技術革新と
ともに保険診療上の経済性の確保があります。すなわち、平成6年度以降、結
核菌、C型肝炎ウイルスやクラミジアなど感染症の遺伝子検査項目が保険収載さ
れたのに続き、平成10年度には悪性腫瘍の遺伝子検査として初めて造血器腫瘍
核酸増幅同定検査が保険収載されました。しかしながら、病院内で遺伝子検査
を実施できる施設は必ずしも多くありません。平成8年に日本臨床衛生検査技
師会が実施した全国アンケート調査によると、遺伝子検査を一部でも実施して
いる施設は、213/2437 (8.7%)でした。病院内で行なわれている遺伝子検査の現
状は、多くは感染症が対象で、悪性腫瘍、遺伝性疾患の遺伝子検査は、まだ一
部(5-10%)の機関でのみ行われています。病院検査室で遺伝子検査に十分対応で
きない大きな理由の一つは、近年、医療経済は厳しさを増しており、多くの病
院では、検体検査部門の省力化を図る中で、遺伝子検査を新たに導入するため
の設備投資、人員確保に経済的余裕がない実情があるためです。病院検査室で
対応できない遺伝子検査は、検査センターが受託しています。これから数年間
は、病院検査室での遺伝子検査の展開には、特に保険診療上の経済性の確保お
よび検査効率、精度保証に重要な技術革新が大きく影響すると考えられます。

2)遺伝子検査従事における大学院進学の意義
 遺伝子検査に携わるための大学院進学の意義は、将来どのような臨床検査技
師を目指しているか、どのような職場を選択するかによって異なります。病院
検査室において遺伝子検査による診療支援には、ニーズに応じた検査体制の構
築、診療に必要な検査情報としての加工が大切で、このため遺伝子解析技術と
臨床病態に精通した人材育成が必要です。また、遺伝子検査の従事には、感染
症検査、血液検査、染色体検査など遺伝子以外の従来検査も広く知り、個々の
遺伝子検査の位置付けを理解し、診療効率に貢献することが大切です。この点
では、人材として大学院進学は必ずしも必須では有りません。ただし、大学付
属病院などでは、新たな検査技術の開発や評価を行なうため、特に遺伝子検査
の従事には研究的素養は大切です。最も重要なことは、希望どおり遺伝子検査
に従事できる病院検査室を捜し確認することです。

 病院以外で遺伝子検査に携わる職場として検査センター、試薬・製薬会社、
研究所、教育機関などがあります。配属部署によっては、遺伝子検査に専念で
き、また、遺伝子診断を基礎的なレベルで取り組む機会が多くあります。その
際、検査技術の開発、教育・指導などに研究的な素養が必要で、大学院におけ
る高度先端的な研究の経験は役に立つと考えられます。

3)遺伝子検査に進むための大学院
 遺伝子検査に携わるための分子生物学、遺伝学の大学院としては、医療系学
部の大学院、特に付属病院の診療と連係した医学部の大学院をお勧めします。
これらの大学院では、医療領域の応用科学としての分子生物学、実際の患者診
療における遺伝子検査を学ぶ機会が多いと考えられます。医療系の大学院(修
士過程)は、東海大学大学院医学研究科、慶応義塾大学大学院医学研究科、筑
波大学大学院医科学研究科、大阪大学大学院医学研究科、北里大学大学院衛生
学研究科などがあります。詳細は医学歯学系大学院案内(東京図書)を参照し
て下さい。募集要項に指導教員の指導テーマが掲載されていますので、興味の
あるところに実際に見学に行き、指導教員から話を直接聞くとよいでしょう。

【参考文献】
[1] 医学歯学系大学院案内.  高久史麿監修、東京図書編集部編、東京図書、
東京、1998.

回答日:1999年4月30日
回答者:認定臨床検査医 宮地勇人(No.369)

[ホームページ/臨床検査Q&A;(生化学検査)]
 
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[Q&A] ◆交差適合試験における寒冷凝集反応への対処
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(Q)寒冷凝集反応が疑われましたが、このような確認法でよいのでしょうか(
臨床検査技師)

 生食法      1   2   3   4  対照
 (室温15分) 1+  1+  1+  1+  1+
 37度C15分  0   0   0   0   0
    ―
 ABO(うら) A1    B
 (室温15分) w+  4+
 37度C15分  0

(A)よいと思います。37℃10〜30分加温で、凝集反応は消失するか、減弱しま
す。

回答日:1999年5月25日
回答者:認定臨床検査医 村上純子(No.370)

[ホームページ/臨床検査Q&A;(免疫学的検査/血清検査/輸血検査)]

 
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[Q&A] ◆交差適合試験におけるブロメリン非特異反応への対処
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(Q)次の例で、本当にブロメリン非特異反応であるのか確認する方法を教えて
下さい(臨床検査技師)

 ブロメリン法  1   2   3   4  対照
        w+  w+  w+  w+  w+

(A)交差適合試験をブロメリン法で行うと、自己対照を含め全ての組み合わせ
で凝集をみることがあります。頻度は検査件数の0.5%程度と云われています。
ブロメリン非特異反応鑑別のめやすとしては
*自己対照と本試験の凝集の強さが同じくらいかどうか?
*本試験の全て(例えば、オーダーされた本数は1、2本分であったとしても、
交差適合試験を10本くらい行ってみる)に凝集反応がみられるかどうか?
*凝集の強さはみな同等かどうか?
を見れば、おおよその見当がつくものです。
 その上での対策ですが、ブロメリンのメーカーやロットを変えたり、濃度(
酵素活性)を変えても反応態度が変わり参考になります。また、確かに、血清
をブロメリン処理した自己血球で、非特異反応が見られなくなるまで吸収する
方法はあります。しかし、通常のブロメリン法より熟練を要しますし、それよ
り何より以下の理由でお薦めしません。なぜなら、
*クームス法で交差適合試験を行えば、ブロメリン非特異反応と考えられる凝
集は見られなくなる
*かなりの時間と労力を費やしてまでブロメリン法に固執するべき必要性がな
い
からです。抗E抗体などの免疫初期抗体検出にはブロメリン法が有効ですが、不
規則抗体が絡んでくれば、複数セットした交差適合試験の凝集結果に強弱が見
られます。どうしてもクームス法ではだめで、ブロメリン法でなければ見落と
してしまう、臨床的に重要な不規則抗体があるとは思えません。
 なお、ブロメリン吸収の操作法については、日本臨床衛生検査技師会ライブ
ラリーXII、「輸血検査の実際」のブロメリン2段法を参考にしてください。

回答日:1999年5月25日
回答者:認定臨床検査医 村上純子(No.370)

[ホームページ/臨床検査Q&A;(免疫学的検査/血清検査/輸血検査)]
 
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[Q&A] ◆交差適合試験における自己抗体や不規則抗体への対処
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(Q)次の例では自己抗体並びに不規則抗体の存在が考えられますが、設備のな
い施設ではどのように検査を進めたら良いのでしょうか。(臨床検査技師)

 ブロメリン法   1   2   3   4  対照
         1+   0  1+  1+  1+
 PEGクームス 1+   0  w+  1+  2+
 直接クームス
  IgG 2+  広範囲 2+、 C3d 0、対照 0

(A)自己抗体と不規則抗体の存在が同時に疑われる際には、ZZAP溶液を用いる
方法が適していると思います。設備は、遠心器と恒温漕があれば大丈夫です。
 ZZAP溶液は、ジチオスレイトール(DTT)とフィシンの混合液です。

 ZZAP溶液 0.2mol DTT        2.5ml
      1%フィシン        0.5ml
      0.1mol PBS(pH 7.3)     2.0ml

1)血球沈層(4〜5回洗浄)1容とZZAP溶液2容を混合し、37℃30分放置した後
、生理食塩水で3回洗浄する。→赤血球の抗体を解離。
2)処理血球2容と自己血清1容を混合し、37℃30分放置した後、3000rpm/3〜
5分遠心する。→血清中の自己抗体を自己血球が吸収。
3)上清を用い抗体の同定を行う。→不規則抗体の同定。
4)沈層を用い、再度抗体解離し抗体同定を行うことができる。

 各種抗体解離法の特徴に関しては、日本臨床衛生検査技師会ライブラリー
XII、「輸血検査の実際」の抗体解離試験の項を参照してください。

回答日:1999年5月25日
回答者:認定臨床検査医 村上純子(No.370)

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[Q&A] ◆総ビリルビン値単独異常の原因と絶食の影響
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(Q)生化学検査で総ビリルビンのみ異常を示す場合何が考えられますか。また
絶食による影響ではどの程度の異常値を示すでしょうか。

(A)総ビリルビン(Bil)増加例で、AST、ALT、LD、ALP、γGTなどの肝胆道系酵
素に異常を認めない場合、教科書的には体質性黄疸をまず鑑別すべき検査所見
です。

 体質性黄疸のうち、間接Bil優位に軽度の増加(多くは総Bil値 3mg/dl以下)
を呈するGilbert症候群は人口比2〜7%と高頻度に見られる病態であり、健診
など偶然の機会に見いだされ、ビリルビン増加以外に検査所見の異常や臨床症
状を認めない例の多くは本症候群と考えられます。

 体質性黄疸には、ほかに間接型優位により高度のBilの増加を呈する
Crigler-Najjar症候群(CNS)、直接型優位のDubin-Johnson症候群、Roter症候群
がありますが、いずれも Gilbert症候群に比してまれな病態です。CNSには新生
児期に核黄疸を呈する重症型(CNS-I型)が存在しますが,これを除くといずれも
予後良好な病態で積極的治療を要しません。

 しかし、肝・胆道系酵素の正常のみでは他の病因による黄疸を完全には否定
できないことに注意する必要があります。例えば、ALPとγGTPは個体の健康時
の変動幅に比して個体差が大きく、集団の基準範囲は主として個体差を反映し
ます。したがって、両者が基準範囲内の値であっても患者個人の値としては肝
外・肝内胆汁うっ滞による異常値であることがあります。また、逸脱酵素であ
るAST、ALT、LDは進行した肝硬変では肝細胞の減少のため基準範囲に止まる例
がしばしば認められます。したがって、壮年以降に初めて見いだされた例や有
症状例ではその他の臨床検査所見や腹部超音波検査などによる除外診断が必要
と考えます。

 絶食による血清Bil増加は健康人でも認められる現象です。その機序は必ずし
も明確ではありませんが、Bilの産生増加と排泄低下の両者が関与するとされま
す。体質性黄疸のうち、UDP-gluculonyltransferase(UGT)の活性低下を示す
Gilert症候群とCriglar-Najjar症候群II型では、絶食時にBilクリアランスの低
下を主体とした著明なBil増加(fasting hyperbilirubinemia)が認められ、低カ
ロリー試験として診断に用いられます。低カロリー試験では400Cal/日食を2日
間摂取し、前値の2倍以上Bil増加を認める場合陽性と判定します。健康人や溶
血では増加は2倍以下とされています。

 なお、近年Gilbert症候群はUGT遺伝子のpromoter領域またはコード領域の遺
伝子変異が原因であることが見いだされており、末梢血を用いた遺伝子診断も
可能になっています。しかし、遺伝子変異陽性や前述の低カロリー試験陽性
は,その他のBil増加要因の関与を否定できる所見でない点に注意する必要があ
ります。

【参考文献】
[1]足立幸彦他:体質性黄疸.日本内科学会誌.86: 574-581, 1997
[2]中西敏夫他:Fasting hyperbilirubinemia. 日本臨床(別冊 領域別症候群シ
 リーズ) 8: 427-429, 1995
[3]Rundenski AS, Halsall DJ.: Genetic testing for Gilbert's syndrome:
 how userful is it in determining the cause of jaundice?, Clin Chem.:
 44: 1604-1609, 1998

回答日:1999年5月28日
回答者:認定臨床検査医 三宅一徳(No.283)

[ホームページ/臨床検査Q&A;(生化学検査)]
 
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[人事消息]◆高知医大の佐々木先生の後任は杉浦哲朗先生に
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 杉浦哲朗 高知医科大学臨床検査医学教授 新任
 
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[編集後記]◆21世紀に目指すべきもの
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 2000年まであと数か月となり、いわゆる「ミレニアム・フィーバー」が
徐々に盛り上がってきています。21世紀は2001年から始まるというのが
本当だそうですが、今回の春季大会をはじめ、至る所で21世紀に向けた話題
が語られるようになっています。

 さてそのような中、我が日本の21世紀とはどんな時代になるのでしょうか
。大不況のまっただ中にあることも手伝って、何か新しいことが起きるのか、
はっきりした期待を持てないのも事実ですが、少し考えてみましょう。

 これまでの右肩上がり高度成長の時代は、誰でも余程愚かでなければある程
度人並みにこなすことができ、また余程うまくやったとしても極端な優位に立
ちにくい時代であったと言えます。翻って今後の低成長の成熟社会においては
、誰でも余程うまくやらなければ行き詰まることが避けられず、優勝劣敗が如
実に表われる時代となります。またこれまではお上や外国から権威を借り、密
室に閉じこもっていれば威張ることができましたが、皆の目が肥えてくれば、
社会的支持に裏付けられた権威を自ら勝ち取っていかなければ、すぐに化けの
皮が剥げてしまい、誰からも相手にされなくなります。

 従って、21世紀に求められるのは、前例や既存の権威に縛られず、自らの
頭で考えて行動でき、現状追認的・予定調和的調整から脱却し、新しい枠組み
への構造変革を目指せる人材ということになるでしょう。またこれまでのよう
に政府や業界だけに気を使うのではでなく、一般社会へのアピールを重視する
ことも不可欠となるので、そのような目配りの能力も求められます。

 ただし、言葉にするのは簡単ですが、実際に行動を起こすのは至難の業です
。このメール新聞のように新しい技術をうまく活用し、新しい世紀に乗り遅れ
ないために少しでも貢献できることを願っています。

[編集担当 西堀眞弘]

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JACLaP WIRE No.8 1999年5月28日
■発行:日本臨床検査医会[情報・出版委員会]
■編集:JACLaP WIRE編集室■編集主幹:西堀眞弘
●記事・購読・広告等に関するお問い合わせ先:
 〒113-8519 東京都文京区湯島1-5-45
 東京医科歯科大学医学部附属病院検査部気付
 e-mail:[email protected]
 TEL:03-5803-5628 FAX:03-5803-0110
●日本臨床検査医会ホームページ -> http://www.jaclap.org/
※JACLaP WIRE掲載記事の著作権は法律により保護されています。
※転載を希望される場合は上記お問い合わせ先にご一報ください。