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JACLaP WIRE No.2 1998年6月12日
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============================≪ 目 次 ≫============================
[お知らせ]◆財団法人「医療関連サービス振興会」サービスマーク
(丸適マーク)と取得した衛生検査所(330施設)について
[お知らせ]◆創刊号の「新入会員紹介」の訂正
[ニュース]◆登録衛生検査所に関連する法令改正の要点
[ニュース]◆衛生検査所の指導監督医に対するアンケート集計結果
[新規収載]◆LDL-コレステロール
[Q&A] ◆IU(国際単位)の単位および標準物質の根拠
[Q&A] ◆MRSAのコアグラーゼ型、バンコマイシンヘテロ耐性MRSA
[編集後記]◆早い・安い・うまい?電子メール新聞を目指して
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[お知らせ]◆財団法人「医療関連サービス振興会」サービスマーク
(丸適マーク)と取得した衛生検査所(330施設)について
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財団法人“医療関連サービス振興会(理事長 佐分利 輝彦)”では在宅酸
素療法の酸素供給装置の保守点検業務、滅菌消毒業務、寝具類洗濯業務、患者
給食業務、患者搬送業務、院内清掃業務、衛生検査所業務、医療用ガス供給設
備の保守点検業務、医療機器の保守点検業務の9業種について、良質な医療関
連サービスの提供をしている施設に医療関連サービスマーク(丸適マーク)を
認定する制度を平成3年9月に発足しました。平成9年12月1日現在で認定
施設数は全業種で1845件になります。
財団法人「医療関連サービス振興会」の衛生検査所のサービスマークの認定
は、平成7年2月1日より始まりました。現在、わが国の衛生検査所の総数は
926施設(平成10年2月現在)ありますが、このうち優良施設330がサービス
マークを取得したことになります。このサービスマークを取得した検査所名を
検査医会のホームページ( http://www.jaclap.org/ )に掲載しましたので、
ご覧下さい。
これらの衛生検査所には管理者、指導監督医、精度管理責任者などが必要で
す。この中で指導監督医は、臨床検査全般にわたって指導監督する専門医師で
あります。本来、指導監督医は臨床検査の専門家である臨床検査医が就任すべ
きですが、現状ではごく少数の専門医しか指導監督医になられておりません。
会員の先生方におかれましては、衛生検査所より要望がありましたら指導監
督医にぜひ就任して頂きたいと思います。医療関連サービス振興会の実地調査
指導員には、日本臨床病理学会、日本臨床細胞学会、日本臨床衛生検査技師会
、日本衛生検査所協会より委員が選出され、実地調査を行っております。実地
調査指導員の先生方のご努力により、優良施設が認定されております。
各衛生検査所の詳細については、日本医療企画のDATA BOOK 1998をご覧下さ
い。
[副会長 森 三樹雄]
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[お知らせ]◆創刊号の「新入会員紹介」の訂正
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創刊号でお知らせした、1998年4月末日までに新しく入会された会員のお名前
に間違いがありましたので、訂正したものをもう一度掲載いたします。不手際
をお詫びいたします。
馬場俊曉 群馬大学医学部医学科臨床検査医学教室 大学院生
小出典男 岡山大学医学部第一内科 講師
野間喜彦 徳島大学医学部附属病院検査部 講師
鈴木 豊 伊勢崎市市民病院中央検査科病理 科長兼診療部長
辻 浩一 大分県立病院中央検査部 部長
熊谷俊一 神戸大学医学部臨床検査医学講座 教授
藤本伸治 名古屋市立大学医学部臨床検査室 助教授
細川洋平 京都第一赤十字病院検査部 部長
杉本和彦 高知医科大学検査部
福原敏行 県立広島病院臨床研究検査科 臨床研究検査科部長
中野 博 奈良県立医科大学病態検査学 教授
入江康司 佐賀県立病院好生館病理検査科 科長
岸川匡彦 大阪医科大学病態検査学教室
菱沼 昭 獨協医科大学臨床病理学教室 助教授
島崎英幸 防衛医科大学校病院検査部 医学研究科 学生
赤塚誠哉 浦和市立病院中央検査科 部長
齋藤勝彦 富山市民病院中央研究検査部 病理科部長
越川 卓 愛知県立看護大学(愛知県がんセンター兼任) 教授
大原智子 自治医科大学臨床病理学 助手
堂本英治 防衛医科大学校病院検査部 専門研修医
新谷憲治 岡山大学医学部第2内科 助教授
三井田孝 新潟大学医学部検査診断学教室 講師
康 東天 九州大学医学部附属病院検査部 助教授
米原修治 厚生連尾道総合病院臨床研究検査科 主任部長
齊藤 啓 順天堂大学浦安病院検査科 助手
吉田カツ江 桐生厚生総合病院中央検査部 部長
安波禮子 大阪府立病院組織適合性検査室 医長
藤田昌宏 国立札幌病院臨床検査科 臨床検査科長
中村栄男 愛知県がんセンター臨床検査部 医長
白澤春之 医療法人豊田会刈谷総合病院 顧問
熊谷 宏 青森市民病院臨床病理部 部長
佐藤英章 獨協医科大学越谷病院病理部 助教授
下村登規夫 鳥取大学医学部臨床検査医学 助教授
北島 勲 鹿児島大学医学部臨床検査医学 助教授
萱場広之 秋田大学臨床検査医学講座
大久保久美子 福岡大学医学部臨床検査医学 助手
江口正信 順天堂大学医学部附属伊豆長岡病院臨床病理科 助教授
一山 智 京都大学医学部病態検査室 教授
吉田克己 東北大学臨床検査診断学 助教授
庄司 優 弘前大学医学部臨床検査医学講座 助手
(以上40名、敬称略)
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[ニュース]◆登録衛生検査所に関連する法令改正の要点
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臨検法施行規則及び医療法施行規則の一部を改正する省令(平成10年5月15日
公布)の施行に伴い、登録衛生検査所に関する法的規制が改正された。改正省
令の要点は、精度管理のための体制の整備を明らかに開設者(経営者)に義務
付けたことで、今まで曖昧であった管理者・精度管理責任者・開設者の義務と
責任が明らかにされたことである。
その他時代に沿った努力目標の明示と規制の緩和がされており、これからの
適正な衛生検査業の発展に大きく寄与するものと思われる。
[日本医学臨床検査研究所 佐守友博]
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[ニュース]◆衛生検査所の指導監督医に対するアンケート集計結果
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日本臨床検査医会では、医療関連サービスマークの認定を受けた衛生検査所
329施設のうち、現住所の把握できた指導監督医217名を対象に、日本臨床検査
医会の存在・活動に対する数項目のアンケート調査を行った。
35%(76名)の回答が寄せられ、76名中67名(88.2%)が、現在も指導監督
医を引き受けており、うち13名が当会の会員であった。非会員の指導監督医54
名のうち、当会の存在を知っていた医師が18名、聞いたことがあるがよく知ら
ないが17名、全く知らないが18名であった。アンケートにより参加したい(機
会があればを含む)と当会の活動に興味をもたれた医師は54名中45名(83%)
に上った。さらに広く衛生検査所の指導監督医に連絡を取る必要があると思わ
れた。
[検査センター担当幹事 佐守友博]
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[新規収載]◆LDL-コレステロール
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LDL-コレステロール(準用先区分D007-5)(区分D-1)
平成10年5月1日より適用の生化学検査
保険点数:28点
基準範囲:120mg/dL未満
直線性:1〜450mg/dL
製品名:コレステストLDL
製造・発売元:第一化学薬品(株) TEL 03-3272-0681
測定法:酵素法 290検体/キット(シングル測定)
結果がでるまでの時間:10分 自動化:可
同時再現性:0.58〜2.05% 日差再現性:0.44〜0.87%
検体:血清または血漿(EDTA、ヘパリン)
【特徴】 検体3μLに酵素液300μLを加え37℃5分間反応させた後、波長546nm
と660nmの吸光度の差(吸光度I)を試薬ブランクを対照に測定する。次いで発
色液100μLを加えて37℃5分反応させ、波長546nmと660nmの吸光度の差(吸光
度II)を試薬ブランクを対照に測定する。吸光度IIと吸光度Iの差を求め、検体
の吸光度とする。あらかじめ濃度既知のヒト血清を同様に操作して吸光度を求
めておき、得られた検体の吸光度からLDL−コレステロール濃度(mg/dL)を算
出する。
本製品は各リポ蛋白と界面活性剤との親和性の差を利用して、分画操作を必
要とせずLDL-コレステロールを汎用の自動分析装置により直接法で簡便に測定
できる液状試薬である。総コレステロールを構成するLDL-コレステロールは、
血管に沈着して動脈硬化の原因となる。LDL-コレステロールの測定は従来、超
遠心法で行われてきたが、特別な機器を必要とし方法も煩雑であった。また、
総コレステロール、中性脂肪、HDL-コレステロールの3項目から計算するFried
ewaldの式は、正確性に問題があった。日本動脈硬化学会による高コレステロー
ル血症の診断は総コレステロールが220 mg/dL以上でLDL-コレステロールが140
mg/dLとされており、これらの患者については食事療法を開始することになっ
ている。本キットでは食事の影響を受けず、食後の採血検体でも測定が可能で
ある。本法と超遠心法との相関をみると、相関係数は r=0.984、回帰式は y=0
.883x+9.48と良好であった。
【保険請求上の注意】 HDL−コレステロール、総コレステロールおよびLDLコ
レステロールを併せて測定した場合は、主たるもの2つに限り算定する。
【文献】 菅野剛史、他:新しく開発されたLDL-コレステロール測定試薬の評
価、医学と薬学 37:635-644、1997
[獨協医大越谷病院 森三樹雄]
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[Q&A] ◆IU(国際単位)の単位および標準物質の根拠
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(Q)IU(国際単位)の単位および標準物質の根拠について教えて下さい。
(A)国際単位(International Unit、IU)の由来は、それぞれの項目によって
一定していません。一般的には、国際学会または国際機関(WHOなど)で標準物
質を設定した場合に、それにtraceableな標準血清を使用し、しかも国際的に国
際単位と表示すると合意された場合に使われます。出来るだけ質量単位で表現
するようにしていますが、免疫測定法などで定量し、質量単位による表現が困
難な場合にやむなく国際単位としています。WHOが標準物質を設定している項目
だけに限りません。また、WHOが決めたからといって、それが普及するとは限り
ません。たとえば、免疫グロブリンなどはそのよい例です。医療の現場で有用
であり、施設間差の是正に大きく寄与する場合にはIUが普及しています。しか
し、ここで誤解してはいけないのは、国際度量衡会議で決定している国際単位
系(SI単位)とは全く関係ないということです。
なお、標準物質は基本的にはWHOなどで規定していますが、本邦では福祉・医
療技術振興会(03-5228-4688)が頒布を代行しています。
回答日:1998年5月20日
回答者:認定臨床検査医 河合 忠(No.22)、戸谷誠之(No.158)
[ホームページ/臨床検査Q&A(その他)]
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[Q&A] ◆MRSAのコアグラーゼ型、バンコマイシンヘテロ耐性MRSA
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(Q)(1)MRSAのコアグラーゼ型と薬剤感受性の関係、および(2)ヘテロ型
バンコマイシン耐性MRSAについて、わかりやすくご教示ください。
(A)以下に説明します。
(1)コアグラーゼ型と薬剤感受性
黄色ブドウ球菌は菌体外物質のひとつとしてコアグラーゼという酵素を産生
します。この酵素はウサギおよびヒトの血漿を凝固させる働きを持ち、フィブ
リノゲンをフィブリンにするものとプロトロンビン様物質の2種類が知られて
います。コアグラーゼは抗原性により8種類に分類されます。
MRSAのコアグラーゼには、II、III、IV、VII型が多いことが知られています
。ご質問にあるコアグラーゼ型による抗菌薬感受性の違いについては、今のと
ころ特徴的なパターンは知られていません。
(2)バンコマイシンヘテロ耐性MRSA(hetero-VRSA)
1995年暮れに、原発性の肺癌の手術後にMRSAによる肺炎を起こした患者にバ
ンコマイシンが投与されました。最初の8日間の経過は比較的良好でしたが、
その後4日間はバンコマイシンの投与中にもかかわらず肺炎が悪化し、他の薬
剤に変更せざるを得ませんでした。幸い、アルベカシンとスルバクタム/アン
ピシリン合剤が奏功したため、無事肺炎を根治することができました。
この患者さんから分離したMu3というMRSA株を感受性テストで調べてみると、
日常使われるMIC(最小発育阻止濃度)の測定では2mg/Lで、アメリカの判定基
準を当てはめるとバンコマイシン感受性という結果でした。そこでどうしてバ
ンコマイシンが効かなかったのかを調べるために、ポピュレーション解析とい
うより詳細な感受性テストを行いました。MICでは約1万個の菌細胞の感受性を
見るのに対し、この方法では1千万個の菌細胞集団についてどのような耐性度
の菌から構成されているかを調べるのです。その結果バンコマイシンは、その
99.99%の細胞集団の増殖を3mg/Lの濃度で抑制しましたが、約100個の菌細胞は
6mg/Lの濃度でも抑制できず、10個、即ち百万個にひとつの割合でバンコマイ
シン9mg/Lでも生えてくる細菌が存在していました。このように種々の異なる
耐性度を持った菌の集団で構成されている菌株のことを、専門用語でヘテロ耐
性菌と呼びます。ヘテロ耐性菌による感染では、たとえ従来のMIC測定では感受
性と判定されても、実際には治療中の患者さんの体内で耐性菌が増殖してくる
ため、治療は不成功に終わることになります。バンコマイシンヘテロ耐性菌は
、濃い濃度のバンコマイシンに接触するとMIC8mg/L以上の耐性菌VRSA(バンコ
マイシン耐性MRSA)になりますので、VRSAを生み出す菌株すなわちプリカーサ
ーとして位置づけることができます。
ヘテロVRSAを検出するには、4mg/Lのバンコマイシンの入ったBHI(brain h
eart infusion)寒天平板に、10の6乗CFU/10μlをスポットします。48時間37℃
で培養後1個以上のコロニーが生じればヘテロVRSAを疑います。また、Becton
-Dickinsonから市販されているMu3培地を用いれば、容易にMu3タイプのヘテロ
耐性菌を検出することができます。この方法は、ヘテロVRSAがバンコマイシン
とβラクタム薬の併用に拮抗を示すことを利用しています。まず、Mu3(寒天)
培地に菌を塗り、βラクタム薬のディスクを置き培養します。ヘテロ耐性菌で
あれば、翌日ディスクの周囲にはっきりと菌が生えてきます。
回答日:1998年5月29日
回答者:(1)認定臨床検査医 猪狩 淳(No.30)
(2)順天堂大学細菌学教室 平松啓一
[ホームページ/臨床検査Q&A(微生物検査)]
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[編集後記]◆早い・安い・うまい?電子メール新聞を目指して
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今年は相変わらず季節の進み具合が早く、関東では例年より1週間ほど早く
入梅しました。まだ雨量は少ないものの梅雨寒が続いていますが、皆様の地方
ではいかがでしょうか。
さて、お陰様でJACLaP WIREも順調に第2号の発刊を迎え、ようやく長さも程
々になり読みやすくなったのではないかと思います。本紙は殆どの原稿を電子
メールで入稿していただいていることや、印刷や郵送の手間が全くないので、
当初の予想以上に少ないマンパワーおよびコストで効率的に編集作業を行うこ
とが可能となりました。特に記事の入稿から発刊まで最短で3日という迅速性
は、他のメディアの追随を許さないものがあります。言うまでもなく、購読者
の方々にはインターネット接続に必要なさまざまな手間や費用をご負担いただ
いている訳ですが、それに見合うだけのタイムリーな情報をお届けするよう、
「早い・安い・うまい」をモットーに努力しますので、今後ともご理解とご支
援をいただければ幸いです。
[編集担当 西堀眞弘]
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JACLaP WIRE No.2 1998年6月12日
■発行:日本臨床検査医会[情報・出版委員会]
■編集:JACLaP WIRE編集室■編集主幹:西堀眞弘
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〒113-8519 東京都文京区湯島1-5-45
東京医科歯科大学医学部附属病院検査部気付
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