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JACLaP WIRE 創刊号 1998年5月23日
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│本メールは日本臨床検査医会の発行する電子メール新聞です。なるべく等|
|幅フォントでご覧下さい。電子メールアドレスをお持ちでない会員が近く|
│におられましたら、お手数ですが回覧をお願いします。配信申込、アドレ|
|スの変更、配信の停止等は [email protected] までお知らせください。 |
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============================≪ 目 次 ≫============================
[特別寄稿]◆電子メール新聞創刊によせて、[大場康寛会長]
[論壇] ◆検体検査実施料の大幅引き下げに有効な対応策はあるか?
[お知らせ]◆電子メール新聞、「JACLaP WIRE」創刊について
[お知らせ]◆平成10年度第2回常任幹事・全国幹事会議事録
[お知らせ]◆研修教育セミナーのホームページ掲載について
[お知らせ]◆大学病院 教授・助教授リストのホームページ掲載について
[お知らせ]◆新入会員紹介
[ニュース]◆臨床病理学国際交流奨励会が海外留学補助金交付者を募集
[ニュース]◆第6回GLM・WSは13名が参加し無事終了
[ニュース]◆第16回日本臨床検査医会振興会セミナーのプログラム決まる
[新規収載]◆子宮頸管粘液中顆粒球エラスターゼ(定性)(4月1日適用)
[新規収載]◆腟分泌液中α−フェトプロテイン(4月1日適用)
[新規収載]◆抗グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)抗体価精密測定
(4月1日適用)
[新規収載]◆甲状腺自己抗体精密測定(4月1日適用)
[新規収載]◆ブドウ球菌メチシリン耐性遺伝子同定検査(4月1日適用)
[新規収載]◆結核菌群核酸増幅同定検査(4月1日適用)
[Q&A] ◆認定産業医の資格取得
[Q&A] ◆HIV検査の報告方法
[声の広場]◆第8回日本臨床検査医会春季大会に参加して
[声の広場]◆血液細胞核酸増幅同定検査について
[人事消息]◆帝京大の松田重三会員、薬学部教授に就任
[編集後記]◆世紀末の大転換点
* ========================≪ JACLaP WIRE ≫======================== *
[特別寄稿]◆電子メール新聞創刊によせて
日本臨床検査医会会長 大場康寛
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霊峰富士は今日もまた、悠久の美しい姿をみせてくれている。しかし、麓の
東海道は五十三次弥次喜多道中時代のそれとは大きく様変わりして、現代技術
の粋を象徴する新幹線超特急が、東へ西へと絶え間なく、風を切って疾走して
いる。
また、古き、古き時代の狼煙(のろし)、飛脚、早駕篭、早鐘、早刷、瓦版
等々のいわゆる「知らせ」の手段も全く一変して、多種、多様、多彩の情報が
、各種媒体つまり、マスメディアを通じて、空高く、宇宙深く、そして地上を
、地下を、水中を縦横に駆けめぐっている。
今や、好むと好まざるとにかかわらず、われわれの生活の中に、直接的に間
接的に新しい技術革新、そして情報化の波が押し寄せてきているのである。
その中にあって飛び交う情報の新しい通信伝達手法として、電子メール(E-
mail)が登場し、普及してきた。コンピュータ利用者同士が、電話回線を介し
て手紙をやりとりするという、コンピュータネットによる新しい情報通信の、
電子郵便私書箱方式ともいえるものである。
E-mail仲間が加入するホストコンピュータには、各自専用のメールボックス
が設けられ、指定されたID宛にメッセージが送られ、蓄えられると同時に、着
信が先方に通知されるので、各自のメールボックスを開けば、メールが直ちに
読めるし、溜ったメールは何時でも読めるし、保存もできる。また同じメール
を複数、多数の相手に同時に瞬時に送信できるのも偉力である。早くて、手軽
で、便利な新しい情報通信なのである。
このたび日本臨床検査医会では、その情報通信の利器E-mailを利用した新聞
を発刊する運びとなった。
本検査医会の活動、動静、各種情報、情勢、情況を手早く知り、直ちに感応
する情報発信、受信基地として、また良質な情報の朝刊、夕刊のみならず号外
として、応答容易な普通便、速達便として、FAXの代りとして大いに活用してい
ただきたいと思うのである。
* ========================≪ JACLaP WIRE ≫======================== *
[論壇] ◆検体検査実施料の大幅引き下げに有効な対応策はあるか?
獨協医大越谷病院臨床検査部教授 森 三樹雄
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平成10年度診療報酬改定で、検体検査実施料は予想外の大幅引き下げとなり
ました。過去において検体検査点数の引き下げ率は2〜3%でしたが、"検査の
適正化"と称し、検査点数を7.4%という大幅引き下げが実施されました。
今回の検体検査における保険点数の大幅引き下げ率の大きいのは、血液検査
で−8.4%、生化学検査Iで−7.0%、生化学検査IIで−9.9%、免疫検査で−10
.5%、微生物検査で−9.0%などです。
今回の大幅な引き下げについて厚生省の説明では、衛生検査所の受託料金実
勢価格が68%とあまりにも低いことを指摘し、保険点数を下げて衛生検査所の
実勢価格に近づけ、差益をなくすためだそうです。現状のままでは次回の改定
でも検体検査実施料は大幅に引き下げられるものと思われます。このような現
状をそのまま放置しておいてよいでしょうか。この検査業界に関連した病院の
検査部、検査センター、試薬会社の全てが今回の大幅引き下げで苦しんでいる
のです。
何かよい対策はあるか皆んなで真剣に考える時期にきていると思います。今
回の検査点数の大幅引き下げに関連して検査業界には次のような問題がありま
す。
衛生検査所における問題点としては、1)新規開業の病院や医院での大幅値引
き、2)準大手のセンターが全国展開を目指し営業地域拡大し、他センターの契
約病院の奪取、3)国立大学病院における低料率での入札、4)診療報酬改定後
における病院の検査料率の引き下げなどであります。
試薬会社における問題点としては、1)大型包装により極端な低価格で試薬を
検査センターに納入、2)過当競争による検査センターや病院への納入価格の値
下げ、3)流通の不透明なマージンなどです。
病院の問題点としては、キットを質より価格で選ぶ傾向が強くなったことで
す。
このように各業界で種々の問題点があり、これらを解決するためには日本臨
床病理学会、日本臨床検査医会、日本臨床衛生検査技師会、日本衛生検査所協
会などの関連団体が集まり、共同で解決策を見出すことが必要だと思います。
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[お知らせ]◆電子メール新聞、「JACLaP WIRE」創刊について
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日本臨床検査医会ではこれまでの要覧、Lab CP、JACLaP NEWS、ホームページ
という4つのメディアに加え、さらに速報性と双方向性を高めるために、新た
に電子メール新聞を発刊することになり、本日ここに創刊号をお届けする運び
となりました。発刊に手間取るうちに記事がどんどん加わり長くなってしまっ
たので、新規収載とQ&Aは「資料編」として分けました。
掲載内容等編集方針については検査医会ホームページの「JACLaP WIRE 編集
室」のページで公開していますのでご覧ください。なお編集に当たっては、会
員の皆様のご意見を十分に反映させたいと考えていますので、本メール末尾記
載の宛先にお気軽にお寄せくださるようお願いいたします。
[情報・出版委員長 土屋達行]
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[お知らせ]◆平成10年度第2回常任幹事・全国幹事会議事録
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日時:平成10年4月24日(金) 午後3:00〜4:30
場所:ポルフォートとやま 翡翠の間
議題:
1.報告 各種委員会
a)情報・出版委員会(土屋常任幹事)
・会誌、会報の発行状況
・会誌、会報の発行予定
・インターネットのホームページ
→独自のドメイン(http:/www.jaclap.org/)を取得し移行
・臨床検査Q&Aの書籍化について2出版社と協議中
・広告掲載:JACLaP NEWS掲載の新規保険点数項目欄で広告費徴収
b)教育研修委員会(森常任幹事)
・平成10年度活動:31回教育セミナーを日大で、32回教育セミナーを
昭和大で行い、各々34名、50名の参加があった。33回の教育セミナー
は順天堂大で、第6回GLMワークショップを自治医科大学で行う。
・教育セミナーの分割:来年度は日大で行っている輸血・免疫・血液
のセミナーを関西で行う。11月の第3回幹事会までに責任者を決める。
c)資格審査委員会(戸谷常任委員)
・準会員の規程
d)渉外委員会(高木庶務幹事)
・平成10年度日本臨床検査医会振興会セミナーを7月10日東京ガーデ
ンパレスで行う。
e)指導監督医に関するアンケート(佐守幹事)
日衛協に所属する検査センターの指導監督医217名にアンケートを実
施した。回答は76名(35%)であり、臨床検査医会に参加したい、機会
があれば参加したいがそれぞれ7名、46名あり、これら監督医に検査
医会の活動を啓蒙することとした。また、これらの結果をまとめて
(責任者:佐守幹事)日衛協に送付することとした。
2.審議事項
1)インターネットのホームページへの会員の住所録掲載の件(森副会
長)会員の所属、役職、所属の住所、TEL、FAXのみを掲載する。
2)準会員の定義、認定試験合格者の会員資格(戸谷幹事)
慎重に審議の結果 「準会員は本人の申し出があって、年齢35歳未
満、もしくは医師免許取得後5年未満のいずれか一方の条件を満たす
者とする。準会員の条件に合致しない者は正会員Bの資格対象者とし
。ただし、準会員の期限は5年とする。」「準会員の会費は3,000円とす
て審査するる」として、第3回幹事会で承認を得る。
3)振興会員の春季大会、各種セミナーへの参加の是非(森副会長)
振興会会員の会社MRが春季セミナー、各種セミナーに参加希望して
いる。(1)現状のままの医師のみに限定する、(1)テーマにより公開する、
(3)大会長が決定する、が考えられ、次回審議することとなった。
4)WASP入会のための英文会則(森副会長)
英文会則が出来上がったので、次回までに検討しておいて欲しい
5)今後の保険改定で検査点数引き下げを防止するための対策(森副会
長)
種々の問題点が指摘され、臨床病理学会、日臨技、日衛協、臨薬協
とも協議して早急に検討委員会を検討することとした。
6)平成10年度予算案
予算案が提示され、承認された。
[庶務・会計幹事 高木 康]
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[お知らせ]◆研修教育セミナーのホームページ掲載について
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日本臨床検査医会が年3回実施している研修教育セミナーの内容が検査医会
のホームページに掲載され、1年365日24時間いつでも受講できるように
なりました。セミナーで使用されるスライド写真等もそのままご覧頂けますの
で、大変効果的に学習できます。臨床検査医を目指す方の受験対策に、また専
門医の生涯学習の教材としてご活用ください。
[教育研修委員長 森 三樹雄]
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[お知らせ]◆大学病院 教授・助教授リストのホームページ掲載について
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全国の大学病院の臨床検査関連講座または検査部の正式名称、教授名および
助教授名の一覧を作成し、ホームページに掲載しました。ありそうでなかった
貴重なリストですので、未入会者の勧誘等に有効にご活用下さい。
[副会長 森 三樹雄]
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[お知らせ]◆新入会員紹介
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1998年4月末日までに新しく入会された会員をご紹介します。
馬場俊曉 群馬大学医学部医学科臨床検査医学教室 大学院生
小出典男 岡山大学医学部第一内科 講師
野間喜彦 徳島大学医学部附属病院検査部 講師
鈴木 豊 伊勢崎市市民病院中央検査科病理 科長兼診療部長
辻 浩一 大分県立病院中央検査部 部長
熊谷俊一 神戸大学医学部臨床検査医学講座 教授
藤本伸治 名古屋市立大学医学部臨床検査室 助教授
細川洋平 京都第一赤十字病院検査部 部長
杉本和彦 高知医科大学検査部
福原敏行 県立広島病院臨床研究検査科 臨床研究検査科部長
中野 博 奈良県立医科大学病態検査学 教授
入江康司 佐賀県立病院好生館病理検査科 科長
岸川匡彦 大阪医科大学病態検査学教室
菱沼 昭 獨協医科大学臨床病理学教室 助教授
島崎英幸 防衛医科大学校病院検査部 医学研究科 学生
赤塚誠哉 浦和市立病院中央検査科 部長
齋藤勝彦 富山市民病院中央研究検査部 病理科部長
越川 卓 愛知県立看護大学(愛知県がんセンター兼任) 教授
大原智子 自治医科大学臨床病理学 助手
堂本英治 防衛医科大学校病院検査部 専門研修医
新谷憲治 岡山大学医学部第2内科 助教授
三井田孝 新潟大学医学部検査診断学教室 講師
康 東天 九州大学医学部附属病院検査部 助教授
米原修治 厚生連尾道総合病院臨床研究検査科 主任部長
齊藤 啓 順天堂大学浦安病院検査科 助手
吉田カツ江 桐生厚生総合病院中央検査部 部長
安波禮子 大阪府立病院組織適合性検査室 医長
藤田昌宏 国立札幌病院臨床検査科 臨床検査科長
中村栄男 愛知県がんセンター臨床検査部 医長
白澤春之 医療法人豊田会刈谷総合病院 顧問
熊谷 宏 青森市民病院臨床病理部 部長
佐藤英章 獨協医科大学越谷病院病理部 助教授
下村登規夫 鳥取大学医学部臨床検査医学 助教授
北島 勲 鹿児島大学医学部臨床検査医学 助教授
萱場広之 秋田大学臨床検査医学講座
大久保久美子 福岡大学医学部臨床検査医学 助手
江口正信 順天堂大学医学部附属伊豆長岡病院臨床病理科 助教授
一山 智 京都大学医学部病態検査室 教授
吉田克己 東北大学臨床検査診断学 助教授
庄司 優 弘前大学医学部臨床検査医学講座 助手
(以上40名、敬称略)
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[ニュース]◆臨床病理学国際交流奨励会が海外留学補助金交付者を募集
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臨床病理学国際交流奨励会では標記の応募者を募集している。応募要項は次
の通りである。
* * *
我が国の臨床病理学の歴史は比較的新しく、世界各国の研究者との学術的な
交流がますます必要とされています。
しかし、若手研究者の海外留学への経済的援助はいまだに十分とはいえませ
ん。本会は、このような現状にあって留学者の経済的援助とともに、臨床病理
学に関連した国際研究団体などへの援助を目的として、昭和57年11月に創
設されたものです。なお、第1回から第16回までに64名の方が補助金を受
けられました。
本会の趣旨をご理解の上、ご応募くださいますようお願い申し上げます。
平成10年4月17日 臨床病理学国際交流奨励会
理事長 河合 忠
常務理事 大場 康寛
第17回(平成11年度)臨床病理学国際交流奨励会
海外留学補助金交付募集要項
交付の主旨
本会は、臨床病理学分野における学術的研究および研修のために海外に留学
する者へ留学費用の一部を補助する。
1.応募資格
臨床病理学研究を専攻又は専攻の予定である研究者で海外への研究・研修を
希望する者。但し、学会・シンポジウム、あるいは視察等への参加を主目的と
するものは対象外とする。
2.募集人数および交付額
第17回(平成11年度)の交付対象研究者数は若干名とし、補助金総額は
約300万円とする。
3.応募方法
所定の申請書に必要事項を記入し、当会事務局宛に提出する。
4.選考方法
本会の理事会にて決定し、本人に通知する。
5.対象者
第17回(平成11年度)の補助対象者は、平成11年4月〜平成12年3月まで
に留学する者。なお、補助金は平成11年4月以降に支払われる。
6.応募締切期日
平成10年8月31日(当日消印有効)。
臨床病理学国際交流奨励会
( Japan Clinical Pathology Foundation
for International Exchange)
理事長 河合 忠
常務理事 大場 康寛
理事 森 三樹雄
理事 猪狩 淳
理事 櫻林 郁之介
理事 五味 邦英
連絡先
〒170-0002 東京都豊島区巣鴨2−11−1
さくら巣鴨ビル 7F
TEL 03−3918−8161
臨床病理学国際交流奨励会
清水富士雄
[email protected]
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[ニュース]◆第6回GLM・WSは13名が参加し無事終了
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第6回Good Laboratory Managementに関するワークショップは無事終了し、
最終的に3つのプロダクトができ、以下の13名の方々に修了証書が発行され
た。(敬称略、順不同)
中野一司 鹿児島大学医学部付属病院検査部
野村文夫 筑波大学医学専門学群臨床医学系臨床病理
桜林郁之介 自治医大大宮医療センター臨床病理学
水口國雄 帝京大学溝口病院臨床病理科
中野 洋 済生会松阪総合病院検査科
小林正之 東京慈恵会医大柏病院総合内科
松本一仁 国立弘前病院研究検査科
石田 博 川崎医科大学検査診断学
細川洋平 京都第一赤十字病院検査部
小島英明 東京都神経科学総合研究所臨床病理部門
福島万奈 甲府共立病院検査部
原田美貴 関東逓信病院病理診断科
西園寺 克 防衛医科大学校病院検査部
[日本大学臨床病理 熊坂一成(チーフプランナー)]
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[ニュース]◆第16回日本臨床検査医会振興会セミナーのプログラム決まる
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本年度の振興会セミナーの日時、場所、特別講演、教育講演3題は下記のよ
うに決定された。いずれも臨床検査医にとって聞き逃せない内容なので、是非
ご出席いただきたい。
日 時: 平成10年7月10日(金) 13:30〜17:00
場 所: 東京ガーデンパレス(湯島会館)
東京都文京区湯島1-7-5 TEL:03-3813-6211
開会の挨拶 13:30 日本臨床検査医会会長 大場康寛
特別講演 13:40〜14:30(講演40分、質疑10分) 司会 大場康寛
「今後の医療動向について」
日本医師会常任理事 竹内輝博
教育講演1 14:30〜15:20(講演40分、質疑10分) 司会 猪狩 淳
「DRG-PPSの今後の医療に与える影響」
聖路加国際病院臨床病理科部長 村井哲夫
15:20〜15:30 休憩
教育講演2 15:30〜16:20(講演40分、質疑10分) 司会 桑島 実
「Good Laboratory Management、最近の考え方」
防衛医科大学校検査部教授 玉井誠一
教育講演3 16:20〜17:00(講演30分、質疑10分) 司会 高木 康
「日常診療における糖尿病検査の選び方−最新の知見−」
日本大学医学部第三内科講師 村上哲雄
閉会の挨拶 17:00 日本臨床検査医会副会長 桑島 実
懇親会 17:10〜
[渉外委員長 桑島 実]
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[新規収載]◆子宮頸管粘液中顆粒球エラスターゼ(定性)
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子宮頸管粘液中顆粒球エラスターゼ(定性)(準用先区分D004-4)(区分D-1)
平成10年4月1日より適用の穿刺液・採取液検査
保険点数:100点
製品名:ファグノス・エラスターゼ
製造・発売元:(株)三和化学研究所 Tel 052-951-8130
測定法:赤色ラテックス着色法 20テスト/キット(シングル測定)
結果がでるまでの時間:約6分 自動化:不可
検体:子宮頸管粘液
【特徴】 メンブレンに固定化された抗体により顆粒球エラスターゼを捕捉し
た後、抗体感作赤色ラテックスを反応させて[固相化抗体]-[顆粒球エラスター
ゼ]-[抗体感作赤色ラテックス]の結合体を形成させる。メンブレン上に出現す
る赤色円の有無により顆粒球エラスターゼを検出する。
顆粒球エラスターゼは、顆粒球に大量に存在し貪食時に放出され、細菌や異
物の消化、組織の分解に関与する重要な酵素で、早期感染マーカーとして利用
されている。また、炎症の原因物質でもあるため検体中の濃度を測定すること
で感染により発生した炎症の存在を特異的に知ることができる。妊婦の子宮頸
管粘液を検体として測定した場合、絨毛羊膜炎(CAM)の前段階である頸管炎の
存在を特異的に知ることができる。
本キットは、赤色ラテックス着色法を用いて妊婦の子宮頸管粘液中顆粒球エ
ラスターゼ濃度がカットオフ値(1.6μg/ml)以上の場合にメンブレン上に出現
する赤色の呈色円を定性的に検出するもので、検体採取から測定結果を得るま
で約6分と短く、測定結果は簡便に目視判定できる。本キットが陽性と判定さ
れれば、CAM等の感染が関与している切迫早産と鑑別され、子宮収縮抑制以外に
抗生物質投与等の抗菌的治療の必要性を判断する指標として役立つ。本キット
と定量測定との相関性(60例)をみると、一致率は93.3%と良好であった。ま
た感染が関与する切迫早産を鑑別する場合の有病正診率は100%(12/12)、無
病正診率は90.9%(10/11)と良好であった。
【保険請求上の注意】 絨毛羊膜炎の診断のために妊娠満22週以上満37週未満
の妊婦で切迫早産の疑いがある者に対して測定した場合に算定する。
【文献】 竹廣 敦、他:子宮頸管粘液中顆粒球エラスターゼ迅速試薬の基礎
評価及び臨床評価.基礎と臨床、31:3043-3050,1997
[獨協医大越谷病院 森三樹雄]
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◎切迫早産の新しいマーカー◎ 〜絨毛羊膜炎の早期診断の指標〜
子宮頸管粘液中顆粒球エラスターゼ検出用
★★ ファグノス・エラスターゼ ★★ (保険収載:100点)
製造発売元:(株)三和化学研究所 (Tel:052-951-8130)
>> ホームページ(http://www.jaclap.org/)で詳細情報を公開中 <<
(目次の「新規保険収載臨床検査項目」をクリックしてご覧ください)
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[新規収載]◆腟分泌液中α−フェトプロテイン
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分泌液中α−フェトプロテイン(区分D007-45)(区分D-1)
平成10年4月1日より適用の血液化学検査
保険点数:300点
基準範囲:125ng/mL以上陽性
製品名:アムテック
製造・発売元:持田製薬株式会社 TEL 03-3358-7211
測定法:色素免疫測定法 10テスト/キット(シングル測定)
結果がでるまでの時間:約2分 自動化:不可
検体:腟分泌液
【特徴】 本試薬は色素免疫測定法による検出試薬であり、メンブラン上に固
定化した抗AFPモノクローナル抗体が、検体中のAFPを介して色素標識抗AFPモノ
クローナル抗体とサンドイッチ型の免疫複合物を生成することにより、腟分泌
液中のAFPの検出を肉眼で行う。
妊娠37週未満の破水感を訴える患者または前期破水が疑われる症例(明らか
な破水症例も含む)並びに非破水例が主体である妊娠37週未満の定期検診を受
診した外来妊婦及び入院患者を対象とした1,124例について検討した結果、本試
薬の正診率は99.0%有病正診率91.4%(13/14例)、無病正診率99.6%(31/32例
)と他キットに比較し良好であった。本キットはモノクローナル抗体を使用し
ているため、特異性が高く、再現性の良いが判定が容易で約2分間で結果がで
る。
【保険請求上の注意】 破水の診断のために妊娠満22週以上37週未満の者を対
象とした場合に算定する。
【文献】 岸田達朗他:改良型AFPモノクローナル抗体キットによる早産期の前
期破水診断―癌胎児性フィブロネクチン測定試薬ならびにニトラジン法との比
較.産婦人科治療、71(2) :204-211,1995
[獨協医大越谷病院 森三樹雄]
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[新規収載]◆抗グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)抗体価精密測定
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抗グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)抗体価精密測定(準用先区分D008-15
)(区分D-2)
平成10年4月1日より適用の内分泌学的検査
保険点数:245点
基準範囲:5.4単位以上 直線性:2.5単位〜370単位
製品名:「ガ・ダ・ブ・ス」抗GAD抗体測定用キット
製造元:大蔵製薬(株) TEL 0774-20-3250
測定法:ELISA法 42テスト/キット(ダブル測定)
結果が出るまでの時間:4時間 自動化:不可
同時再現性:5.1〜7.5% 日差再現性:6.1〜9.2%
検体:血清
【特徴】 本キットは、サンドイッチ法を利用した酵素免疫測定法(ELISA)に
より、血清中の抗グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)抗体を測定するもの
である。
GAD抗体測定は、インスリン依存型糖尿病(IDDM)の診断および発症予知マー
カーとして広く用いられている。GAD抗体測定による1年未満のIDDM患者の有病
正診率は65%(13/20例)、無病正診率は48.3%(177/180例)である。また
NIDDNMの約5%に見られるSlowly progressive IDDMの早期発見および治療にも
有用である。本法とRIA法を比較検討したところ相関係数は y=0.995、回帰式y
=0.90x+1.91と良好であった。
【保険請求上の注意】 すでに糖尿病の診断が確定した患者に対し、インスリ
ン依存型糖尿病(IDDM)の診断に用いた場合に算定できる。
【文献】 尾林 博 他:ヒトリコンビナントGAD65を抗原としたELISA法によ
る抗GAD抗体測定試薬の検討.医学と薬学、36(3):517-521,1996
[獨協医大越谷病院 森三樹雄]
* ========================≪ JACLaP WIRE ≫======================== *
[新規収載]◆甲状腺自己抗体精密測定
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甲状腺自己抗体精密測定(準用先区分D014-9)(区分D-2)
成10年4月1日より適用の自己抗体検査
保険点数:250点
基準範囲:2.0 IU/m以下 直線性:2 IU/mL〜60 IU/mL
製品名:ルミコTgAb
製造元:Nichols Institute Diagnostics, San Juan Capistrano CA, U.S.A.
輸入・発売元:日本メジフィジックス(株) TEL 0798-26-6801
測定法:CLIA法 100テスト/キット(シングル測定)
結果がでるまでの時間:2時間14分 自動化:可
同時再現性:3.2〜3.6% 日差再現性:1.6〜3.9%
検体:血清及び血漿(EDTA・ヘパリン)
【特徴】 アクリジニウムエステルで標識したサイログロブリン(Tg)とビオ
チンを結合したTgにより、Tg抗体をサンドイッチし,複合体を形成する。この
複合体がアビジン−ビオチン結合により、ビーズに固相化され,Tg抗体を特異
的に測定するサンドイッチ法を利用した化学発光免疫測定法(CLIA法)を原理
としている。
血清・血漿サイログロブリン抗体の測定は,RIA,EIA(ELISA)法が広く用い
られている。本キットはCLIA法を用いて甲状腺自己抗体精密測定を行うが、バ
セドウ病や橋本病などの自己免疫性甲状腺疾患の鑑別診断及び経過観察、潜在
性自己免疫性甲状腺炎の早期診断などに有用である。本法とRIA法との相関は相
関係数が0.98、回帰式はY=0.92X−3.86と良好であった。
【保険請求上の注意】 特になし。
【文献】 安井朋子他:化学発光免疫測定キット「ルミコTPOAb」及び「ルミコ
TgAb」の基礎的検討。医学と薬学、38(6):1243-1249,1997
[獨協医大越谷病院 森三樹雄]
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[新規収載]◆ブドウ球菌メチシリン耐性遺伝子同定検査
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ブドウ球菌メチシリン耐性遺伝子同定検査(準用先区分D023-3)(区分D-2)
平成10年4月1日より適用の微生物核酸同定・定量検査(1)
保険点数:600点
製品名:ジーンカラーmecA・spa
製造元:湧永製薬(株) TEL: 0826-45-2334
発売元:日本ロシュ(株) TEL: 03-5443-7045
測定法:PCR法 24テスト/キット(シングル測定)
結果が出るまでの時間:4時間30分 自動化:不可
【特徴】 PCR法によりmecA遺伝子とspa遺伝子を増幅し、増幅産物をマイクロ
タイターウエルに固定したプローブとのハイブリダイズ反応で捕捉し、ペルオ
キシダーゼ標識アビジンを反応させて、発色基質との呈色反応により検出する
。
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は大多数のβ-ラクタム系薬剤に耐性
を示す黄色ブドウ球菌で院内感染の原因菌として高頻度に検出される。ジーン
カラーmecA・spaはMRSAの薬剤耐性の本体PBP−2'の構造遺伝子であるmecA遺伝
子と黄色ブドウ球菌に特異的なプロテインAの構造遺伝子(spa遺伝子)を同時
に迅速・高感度に検出するPCR法のキットである。mecA遺伝子によりメチシリン
耐性菌と感受性菌の鑑別を行い、spa遺伝子により黄色ブドウ球菌とコアグラー
ゼ陰性ブドウ球菌(非黄色ブドウ球菌)との鑑別を行うことができることから
MRSAの確定診断ができる。mecA遺伝子の同定結果は、メチシリン耐性遺伝子同
定用試薬「ワクナガ」と100%一致した。
【保険請求上の注意】 ブドウ球菌メチシリン耐性遺伝子同定は、ED-PCR法ま
たはPCR法によるものをいい、血液培養により黄色ブドウ球菌が検出された患者
を対象として測定した場合または免疫不全状態であって、MRSA感染症が強く疑
われる患者を対象として測定した場合のみ算定できる。
【文献】 奥住捷子、米山彰子、中原一彦:mecA遺伝子とspa遺伝子の同時増幅
によるMRSA・MR-CNS・MSSAの検査材料直接検出の検討.機器・試薬、21:1〜5,
1998
[獨協医大越谷病院 森三樹雄]
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[新規収載]◆結核菌群核酸増幅同定検査
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結核菌群核酸増幅同定検査(準用先区分 D023-4)(区分D-2)
平成10年4月1日より適用の微生物核酸同定・定量検査(2)
保険点数:680点
カットオフ値:1.0未満
製品名:M.ツベルクローシス・ダイナジーン
製造元:Abbott Laboratories, North Chicago, IL, U.S.A.
輸入・発売元:ダイナボット(株) TEL 03-3589-9580
測定法:LCR法 96 テスト/キット(シングル測定)
結果が出るまでの時間:5時間 自動化:可
検体:喀痰、気管支洗浄液、胃液、髄液、尿
【特徴】 結核菌群に特異的な染色体DNA(蛋白抗原b遺伝子)を標的としてい
る。DNAの増幅は、標的DNAに相補的な塩基配列を持つ、4種類のハプテン標識プ
ローブと耐熱性リガーゼを用いたLCR(Ligase Chain Reaction)法により行わ
れ、増幅DNAの検出は、マイクロパーティクルを用いた全自動EIA法により行わ
れる。
本法と従来からあるTMA(Transcription Mediated Amplification)法を結核
症患者の340検体について比較検討したところ、感度はそれぞれ47.6%、37.9%
、特異性は98.5%と100%となり、感度については本法がやや良好であった。本
法と培養法との陽性一致率は90.6%(116/128)、陰性一致率は93.8%(1231/
1312)と良好な結果であった。
本法では増幅産物が、チューブ内で自動的に分解されるように設定されてい
るため、DNAコンタミネーションによる偽陽性の発生が少ない。全自動検出装置
で行うため、一般的な検査室で日常的な検査法として使用することが可能であ
る。従来の培養法では結果の判定に4〜8週間と時間がかかる欠点があったが、
本法では5時間と迅速に検査成績が得られる。
【保険請求上の注意】 結核菌群核酸増幅同定検査は、核酸増幅と液相ハイブ
リダイゼーション法による検出またはLCR法による核酸増幅とEIA法による検出
を組み合わせた方法による。
【文献】 古賀 宏延、他:Ligase Chain Reaction (LCR)法を用いた結核菌群
DNA検出用試薬の臨床的検討.感染症学雑誌、71(12):1246〜1251,1997
[獨協医大越谷病院 森三樹雄]
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[Q&A] ◆認定産業医の資格取得
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(Q)臨床検査医も認定産業医の資格を持っていると好都合と聞きました。資格
を取得する方法を教えてください。
(A)日本医師会で行っている研修会に参加し、産業医学基礎研修50単位以上を
習得した医師に認定産業医の称号と認定証が交付されます。基礎研修会の開催
は都道府県医師会、郡市区医師会、または複数の医師会が合同で日本医師会の
指定を受けて行います。この基礎研修会の日程は“日本医師会雑誌”や“日医
ニュース”などに掲載されているので参考にします。基礎研修会は自分が所属
している都道府県や市の医師会に優先的に出席できますが、単位をとるために
他の都道府県で行っている医師会に余裕があれば入れてもらうこともできます
。その際には自分が必要としている内容かどうかを確認しておくことが重要で
す。
産業医の資格を取りたい人は、都道府県医師会を通じて産業医の研修手帳を
もらいます。研修会に出席した場合は受講した研修単位を記載した証明ラベル
を受け取り、研修手帳に貼り付け、下記の50単位以上を取得することが必要で
す。日曜日に朝から夕方までの研修で、7〜8単位とれるものを選ぶと効率的で
す。
基礎研修の内容(50単位)
1)入門的な前期研修(14単位以上必要)
● 総論 2単位 ● メンタルヘルスケア概論 1単位
● 健康管理 2単位 ● 健康保持増進 1単位
● 作業管理 2単位 ● 作業環境管理 2単位
● 有害業務管理 2単位 ● 産業医活動の実際 2単位
2)実習・見学などの実地研修(10単位以上)
これは職場巡視などの実地研修、環境測定実施、映画などによる実務的研修
を行う。
3)地域の特性を考慮した実務的・やや専門的・総括的な研修(26単位以上)
申請の資格・手続き・登録
1.資格
1)都道府県医師会などが実施する基礎研修50単位以上を終了していること
2)産業医科大学産業医学基本講座修了者
2.手続き 1万円と下記のものを添えて提出する。
1)認定産業医認定申請書
2)医師免許証の写し(医師会員は不要)
3)産業医学研修手帳
3.審査 申請後、2〜3か月で認定証が交付される。
回答日:1998年4月21日
回答者:認定臨床検査医 森 三樹雄(No.45)
[ホームページ/臨床検査Q&A(その他)]
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[Q&A] ◆HIV検査の報告方法
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(Q)手術前などのHIV検査について、(1)保険請求が認められる条件、(2
)結果報告書の届け方、(3)インフォームドコンセントにおける注意点につ
いて教えてください。(大阪府 臨床検査技師)
(A)(1)HIV抗体の保険点数請求は、手術、観血的な処置いずれの場合でも
実施前検査としては認められません。手術前医学管理料として一括請求(1,52
0点)するときはその中に入れることは出来ますが、HIV感染症の疑い、あるい
は特定の処置を行うからといって、請求することはできません。保険点数のHI
V-1抗体価の項を参照して下さい。
(2)現状では、院内でHIV抗体の検査を実施する場合に、検査結果を封筒に入
れて返却し、被験者の了解の上で、主治医とともに開封する場合や、陰性結果
はそのまま返却し、陽性結果のみ別に封筒に入れて報告をするなど、病院によ
っていろいろな方法がとられています。封筒に入れて検査結果を送付すること
は大変に手間がかかるので、検査室としてはできれば避けたいと考えるのも無
理はありませんが、病院としての考え方の違いによって対応の方法は異なりま
す。具体的には、病院内に設置された感染対策委員会(病院長も委員になるこ
とが規定されていると思います)などで病院の意思として結果報告の方法を決
める必要があるでしょう。参考までに私の勤務する駿河台日本大学病院では、
HIV抗体検査は陰性結果の時は通常の検査と同様に報告し、陽性結果の時には封
筒に入れ、臨床病理科の医師が直接主治医に手渡し、その後の対応方法などを
相談することにしています[1]。
(3)HIV抗体検査を実施する場合、被験者へのインフォームドコンセントをき
ちんと行うのは当然のことです。病院としての説明文と検査承諾書を作製し、
その各項目について十分説明した後に署名(できれば捺印)していただくこと
が必要です。
【参考文献】
[1]土屋達行 他:HIVスクリーニング検査における結果報告改善の試みー臨床
検査医の主治医への直接面談による結果報告についてー、臨床病理、44(補冊
):299、1996
回答日:1998年5月4日
回答者:認定臨床検査医 土屋達行(No.244)
[ホームページ/臨床検査Q&A(免疫学的検査)]
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[声の広場]◆第8回日本臨床検査医会春季大会に参加して
〜サンダーバードとチューリップ畑〜
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この度の検査医会春季大会は、シンポジウムも特別講演も大会長の櫻川信男
先生による素晴らしい企画で、大変有意義な内容でした。東京大学の中原一彦
先生は富山に向かった飛行機が霧のため着陸できず、ご講演を見送られたとの
ことで、誠に残念でした。名古屋大学の中島伸夫先生は病理学における緻密な
解析とそこから新しい理論を提唱された経緯をお話されました。かつて私も大
学院時代に、現在の第一生化学教授から「データを出してからが本当のサイエ
ンスである」と教わりました。サイエンスとはこのように新しい理論を導き出
すことだと思うのですが、最近は検査技師さんなどを見ていても、データを出
すことがサイエンスだと思い込んでいる向きがあるようです。
パネルディスカッション「臨床検査医の進む道」では、新潟大学の岡田正彦
先生のご講演が特に印象的でした。検査医の活躍する分野として予防医学を挙
げられ、公衆衛生学との相違を鋭く指摘されるとともに、その実践の様子を巧
みに紹介されました。ところでこのご発表で思い出したのが、1995年のJAMIC
JOURNAL(No.6)に掲載された「未病」という言葉です。未病とは、「検査値で
は異常があるが自覚がない状態の時期」と定義され、この未病の期間にある疾
患群として高血圧、糖尿病初期、高脂血症、高尿酸血症、肥満、脂肪肝、その
他B型肝炎キャリア、HIV感染症、無症候性脳梗塞などを挙げています。さらに
、将来の医療経済の状況を考慮し、これらの疾患をこの未病期間にコントロー
ルすることこそが、長い目で見た場合、日本の医療費の軽減につながり、しい
ては健全な長寿社会の出現になると指摘しています(1995年1月「第一回東京未
病研究会」開催)。この記事を読んだとき、何故この新しい概念が、検査医学
の分野で真っ先に提唱されなかったのかと少し残念に思いました。という訳で
、新潟大学でのこの分野における独自のご発展に、今後注目したいと思います
。
鹿児島大学の丸山征郎先生のご講演は、残念ながらご都合により中止になり
ましたが、抄録には我々にとって耳の痛い、けれども真実の一面が語られてい
るように思いました。「臨床検査は在るが、臨床検査医はいないのではないか
?」という素朴な疑問や検査医のアイデンティティーとは?という投げかけで
す。しかしながらこのような問題は、検査医に限ったものではないようです。
他科を引き合いに出すのも何ですが、実際、放射線科医や総合治療部のドクタ
ーにも似たような悩みがあるようですし、基礎医学の分野では解剖学なども存
続にかけて、何でもありの研究をしていると聞きます。どこの分野でも時代と
ともに新しい問題が生じてきています。焦っても仕方ありませんが、それでも
我々の手の内にはまだいくつかの切り札が残っていると思います。それらの切
り札をいかに巧く使うかが今後の課題であって、この度のディスカッションは
それを見極めていく上でとても具体性の高い企画だったように思います。
神戸大学の熊谷俊一先生のご講演に対しては、河合 忠先生が大変微妙なと
ころを的確にご指摘になったと思います。<検査医学の独自性が埋もれること
なく発展していくことが、これからの医学医療の進歩に不可欠であるという認
識>さえあれば、多少のバリエーションはあっても検査部の舵取りに本質的な
問題は生じないと私は思います。そしてこの認識こそが検査医のアイデンティ
ティーにつながるのではないかと思います。森 三樹雄先生や岡田 淳先生、
佐守友博先生のご講演で示された内容はすべて、それぞれの先生方のアイデン
ティティーから発しているように私には思えます。今後は我々のアイデンティ
ティーをどのように強化していくかという視点から、この問題について話し合
えるとよいと思いました。
最後に、本大会当日の朝、少し抜け出してチューリップ・フェアを見に行っ
てきました。色とりどりのチューリップが雨上がりの滴で一層美しく、新鮮に
見えました。ところで、アンデルセン童話にある「おやゆびひめ」は何色のチ
ューリップから生まれたと思いますか? ・・・「赤」と答える人が多いかも
知れませんが、実は「黄色」なんです。私も意外な気がしましたが、子供に読
み聞かせた後にたずねてもやっぱり「赤」と答えるので、これは一種の先入観
だと思いました。帰りもサンダーバードに乗って、8時間の旅路につきました
。ウルトラマン世代の私にとって、サンダーバードという言葉の響きには、小
さい頃に見たテレビの映像が重なり、あのメインテーマがいつまでも耳から離
れません。そして雨の降りしきる富山がチューリップ畑とともにある1つのイ
メージで包まれています。
追記:大会中、櫻川信男先生の細やかな心配りを何度となく目にしました。
背広のポケットを持たない女性には名札ケースを自ら配られたり、会を世話し
て下さる末端の方々にまで、優しく声をかけていらっしゃいました。日常、検
査部をどのように運営されているかを垣間みたような気がします。
[山口大学検査部 松野容子]
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[声の広場]◆血液細胞核酸増幅同定検査について
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平成10年4月1日実施の改正診療報酬点数表に「血液細胞核酸増幅同定検
査(造血器腫瘍核酸増幅同定検査)」が2,000点として保険収載されました(注
別に厚生大臣が定める施設基準に適合しているものとして都道府県知事に届
け出た保険医療機関において行われる場合に、6月に1回を限度として算定で
きる)。これまで高度先進医療における遺伝子診断として、造血器腫瘍のDNA(
遺伝子)診断として取扱医療機関で行われた技術です。この背景には、遺伝子
診断としては三重大はじめ10施設が承認され最も多く、自己負担額が19,330
-56,200円であったものが、保険収載検査として2,000点となった形であること
が考えられます(確認はしていない)。私費負担の高度先進医療を保険収載検
査に移行した点で画期的であり、感染症以外の遺伝子診断が認可されたことに
なります。
しかし、遺伝子診療に関係する方々にいろいろ尋ねると必ずしも一致した解
釈をしていないのが現状です。とにかく、これまで行っている造血器腫瘍に関
連する遺伝子の検査を適応して申請すると考えている施設や、内容が規定され
ないので慎重に動向を見極めてからとさまざまです。問題となるのは、検査項
目を規定していないことです。以前から、大手検査センターでは造血器腫瘍に
関連する転座遺伝子検出やT、B関連遺伝子の再構成検出、がん遺伝子増幅など
の検査が施行されてきました。これら全てが包括されるのか、特定施設で行え
る検査に限定すべきか議論のあることろです。
そこで、私見ではありますが、これまでの高度先進医療の経緯から、まずこ
の検査を実施したいと考えている施設(検査部)は高度先進医療「造血器腫瘍
のDNA診断」に申請して、承認を受けた上でこの遺伝子診断を実施するのが妥当
ではないかと考えます。多くの方々の御意見をお願いします。
[東北大学医学部臨床検査診断学 舩渡忠男]
(編集部より:この記事に関するご意見は電子メールでアドレス
[email protected] までお寄せ下さい。必ず著者にお届けします。)
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[人事消息]◆帝京大の松田重三会員、薬学部教授に就任
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松田重三 帝京大学薬学部臨床生化学講座教授(医学部兼任) 新任
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[編集後記]◆世紀末の大転換点
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今年は季節の進み具合が例年より10日程早く、お花見の時期を逃した方も
多かったことと思います。関東では既に梅雨に入ったようなすっきりしない天
気が続いていますが、皆様の地方ではいかがでしょうか。
さて、21世紀最初の年である西暦2001年まであと1000日弱となり、国内外
の混とんとした状況は名実ともに世紀末の様相を呈してきました。人類が勝手
に決めた100年ごとの区切りに過ぎないとは分かっていても、この100年
間に起こった変化、特に人類がかつて経験したことのないような科学技術の進
歩の凄まじさを見れば、今この世の中が大きく変わろうとしていることは論を
待ちません。果たして21世紀の人類はどのような社会を生きることになるの
でしょうか。
太古から変わらない人間の欲求のひとつに、時間や空間を越えて必要なとき
必要な人といつでもコミュニケーションしたいということがあります。携帯電
話の爆発的普及はこの欲求を顕在化させ、いかに強い欲求であるかを示しまし
た。今は電波の届く範囲に限りがありますが、この秋には衛星を使って地球上
どこにいても話が出来るサービスが始まり、その数年後には音声だけでなく、
鮮明な動画像がやりとりできるようになります。これらのサービスは瞬く間に
インターネットと一体化し、中継車が行かなくても世界中で生の映像が飛び交
うことになります。やがてはひとりひとりがインターネットにつながった小さ
な端末を携帯し、新聞・テレビ・映画を見たり、手紙や電話のやりとり、通信
販売の購入はすべてそれを使って行ないます。そして定期的に、あるいは身体
の変調を感じたときに、いつでもどこに居ても、その端末を使って知りたい健
康情報を得たり、かかりつけの医療機関で健康管理を受けることができます。
地球のどこかで自然災害、社会不安あるいは環境破壊が起これば、世界中から
草の根の監視あるいは支援が行われ、人類全体の知恵で最善の解決策が導かれ
ます。
このような大転換に際し、我々専門医は、医療従事者、研究者そして教育者
としてどのような対応が求められるでしょうか。顧客である受診者、臨床検査
技師そして臨床医とは端末を介したコンサルテーションが主になり、ピックア
ップされた方だけと時間を割いて面接することになります。従来の学会活動、
即ちグーテンベルグの発明による印刷技術をベースとした学術誌やイベント形
式の学術総会は象徴的なものとなり、実質的には、誰よりも早くネットワーク
上に成果を公表し、社会的認知や評価を得たものだけがオリジナルの研究業績
として認められるようになります。そしてネットワークを縦横に検索して優れ
た教材を集め、最も高い教育効果を示すカリキュラムを提示した者だけが学生
の支持を得て教育者として認められます。
これまで日本は、明治維新以来百三十余年に渡り、欧米列強に追いつくこと
が国家的目標でした。学問の世界でも、優秀な学生を留学させて外国の知識を
吸収させ、その知識のコピーを学んだ教育者を大量生産して国全体の学術の底
上げを図り、大成功を収めました。留学や外国雑誌に掲載されることで高い評
価が得られるような気がするのは、そういう時代の名残です。しかし、人類全
体が未体験ゾーンに突入しつつある今、これからは自分の頭で考え、自分の責
任で行動し、そしてその結果社会から下される評価について自ら責任を負わね
ばなりません。
こう考えると、21世紀に専門医として生きていくのはどうも大変そうだと
お困りの方もおられるでしょうが、どうぞご安心ください。新しい時代という
ものは、先取りすればする程優位に立つと決まっているのです。そしてこのJA
CLaP WIRE、すなわち専門医の団体が発行する世界初の電子メール新聞の創刊号
を読んでいる会員諸氏は、気付かぬうちに、他の誰よりも早く、既に21世紀
に1歩足を踏み入れることに成功したのです。
[編集担当 西堀眞弘]
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JACLaP WIRE 創刊号 1998年5月23日
■発行:日本臨床検査医会[情報・出版委員会]
■編集:JACLaP WIRE編集室■編集主幹:西堀眞弘
●記事・購読・広告等に関するお問い合わせ先:
〒113-8519 東京都文京区湯島1-5-45
東京医科歯科大学医学部附属病院検査部気付
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●日本臨床検査医会ホームページ -> http://www.jaclap.org/
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